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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
二人の狂者
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かった。
しかし、後ろの狂児はあらゆる困難を踏破してくる。
それは、予選一回戦の時にチラッと見たどこかの少女の戦いとは真逆のベクトルの回避行動だった。バンザイアタックで予選に紛れ込んでいた
新米
(
バカ
)
の頭をいち早くブチ抜いた彼が待機ドームに戻り、全員が感嘆の呻き声とともに見入っていたあの少女の動きは、いわば受け身の回避だ。
もはや人間業だとは思えないのだが、あの女の子は予測線のタイムラグなどないほどの近距離で、銃弾が発射されてから、また銃口の向きからだいたいの弾道を独自に予測し、持ち前の圧倒的と言える敏捷値をフルに発揮して、ヴィントレスのフルオート射撃をかいくぐって見せたのだ。
だが、今後ろから迫る脅威はそれとはまったく別。
こちらが撃つタイミング、隠れている位置、逃げる方向とその経路。
すべてが読まれている。
しかも、ただの行動予測ではない。脇道や障害物を越えようとすると、それを見越しているかのように牽制弾が容赦なく降り注ぎ、退路を削り取っていく。
つまり、誘導されている。
とんでもなく高度で緻密に計算されている、まるで詰将棋のような先の見えた殲滅戦。
―――じょッ!冗談じゃねェ!!予選ステージの種類がいったいいくつあると思ってんだ!!?
しかし、その詰将棋にも綻びが生じる関門がある。それは、そもそもの駒を動かす盤が十数種類、いや何十種類も存在し、その内装も毎度ランダムのように切り替わることだ。にもかかわらず、今背中を焦がす殺意は欠片も揺らぐことなくこちらを照準し続けている。
さらに、本当の脅威はそこではない。
問題なのは、誘導されていることを自覚していてもなお、何の解決策も思い浮かべずにただただ無闇で無策な逃走を繰り広げているこの現状だ。
そう。
本当の脅威は、全てを先読みした先見的回避でも、詰将棋のごとき戦闘誘導でもない。
それら全てを悟らせた上で、解決策を思いつくだけの時間を与えない、残酷なまでの短期決戦スタイル。
それを支えるのは、敏捷値優先の
能力値構成
(
ビルド
)
とあらゆる障害物でもたちまち踏破するスキル群。
「クソッ!……クソッたれええぇぇえ!」
数十、いや数百に届く赤い輝線が自分を貫くのを見、男はとっさに右手前方にある小部屋に飛び込む。だが、すぐさまその判断が悪手だったことに気づき、胸中で高らかに舌打ちを響かせた。
その部屋は入って来た方向以外、全ての壁に出口がない。
つまるところ、完全に逃げ道がなかった。
―――まさか、最初ッからココに追い込むために……!
刹那の予感は、背後からの銃撃によって答えられた。欠片も容赦がない弾倉を丸々使い潰す5.56x45mm NATO弾の一斉射は、男の両足を太腿から、腕を手首
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