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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
二人の狂者
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を見回すハディーカのスキンヘッドが見える。

彼が焦るには理由がある。いや、やっと気付いたといったところか。この状況下で《あたし》が相手となるということの恐怖を。

ハディーカは、ミナと同じタイプの純前衛攻撃職で、敏捷値優先の能力値構成をとっている。よって、彼はこう考えていたはずだ。弾道予測線を見てから回避し、相手が弾切れを起こしたタイミングを見計らって上に上がる、と。

だが残念ながら相手が悪かった。

『手榴弾に弾道予測線(バレットライン)は付与されない』。その事実をもっと早く思い出せていれば結果は変わっていたかもしれない。

「ちゃっちゃと終わらせるわよ。ミナが待ってるし」

あと、あのアホどももね。

にわかに湧き上がる焦りと疑心暗鬼の中、頭上を煽いでいた(ターゲット)の視線が自らの周囲に向いた時、そんなことを呟きながらリラは容赦なく銃口を上向けた《ブルーパー》のトリガーを引いた。










「クッソ……!乱射魔(トリガーハッピー)がァ!」

怒気とともに弾倉(マガジン)を押し込む。普段の滑らかさからは程遠い、粗雑で力任せの手つきはマガジンリリースから嫌な音と小さなパーティクルを発生させた。

直後。

背にした分厚い鉄塊に雨あられと銃弾が降り注ぎ、凄絶な音をまき散らす。

ザガガガギギギギャギャギャッッ!!という爆音は、仮想の骨を伝って脳の中を暴れまわり、正常な思考を抉り取る。

自分でも訳の分からない絶叫をノドもとから迸らせながら、男は腰に吊るしていた大型のプラズマグレネードを引き千切るようにして掴む。この近距離では自分も危険なのでは、という警鐘が頭のどこかで鳴り響いていたが、彼にはもうその真意すら判断が付かなくなっていた。

数秒後、弾丸が飛来していた方向から球状の青白いプラズマ力場が発生する。超高熱、高圧の烈風が鉄塊の影にいたにも拘らず男を襲うが、彼の口元には笑みが張り付いていた。

だが。

辺りの何物をもプラズマ球が呑み込み、噴煙を立ち込めるその向こう側。



にわかに視界が、真っ赤に染まった。



バ――――――――――――――アアァァァッッッ!!!!!

繋がりすぎてもはや一つの音域に固定されて聞こえる、紛れもないアサルトライフルの発砲音が男の意識をドン底まで引きずり戻す。

「…………ッッ!!?」

ひぅ、とノドがおかしな音を立てる。

とっさに逸らした背から、嫌な衝撃が身体に浸透すると同時、視界端に表示されたHPバーががくん、がくんと一気に激減した。

絶叫。

発砲。

半ば本能の自動操縦任せで適当にバラ撒きながら、男は遮二無二に一歩でも前に出ようとする。そう、少しでも落ち着ける時間が欲し
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