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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
二人の狂者
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した相手の弾薬を頂くとかの剥ぎ取り行為がしやすいが、なにぶんリラの持つM79―――通称《ブルーパー》の
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はグレネードランチャーだ。特殊すぎ、さらに一発一発が重いそんな弾をごっそり持っている奇特なヤツはそうそういない。
つまり、少女にはいつも節約の責が課せられているのである。
しかも、予選一回戦では景気よく行こうとして相手も敏捷値寄りだったせいもあり、かなりの量の榴弾をブチかましてしまった。おかげで気分は爽快だが。
―――ムム、ここはスマートに行きたいわ。
実際には、得意げに相手を谷底に突き落として今度はトドメをなかなか刺せずに崖の上で悶々としているリラの姿はかなり笑いを取る形になっているのだが、幸か不幸か少女はそこら辺りを気づいていなかった。
とりあえず、と彼女は装備重量と口の大きさが許す限りならどんなものもいくらでも入る四次元ポーチから球状の物体を二個取り出し、真上直上斜め三度くらいの感覚で放った。そして、大きく身を翻して割れ目沿いを多くない敏捷値が許す限りの全速力で突っ走った。
ゴルフボール大の球状の物体――――オランダ製の投擲型破砕手榴弾《V40 MINI》は、その小さな体躯から予想できる通り、かなりの軽重量並びに運搬効率が高い手榴弾で、そのくせ爆発半径はなかなかのものを持ち合わせているクセモノだ。
放られた二つのV40は、限りなく鉛直方向に突出した放物線を宙空に描きながら、乾いた岩にばっくりと開いたひび割れに入り、底で爆砕した。轟く轟音がかすかに響いてくるが、リラは足を止めない。
このステージ、通称《割れ谷》はとかく両極端のステージとして知られている。上の台地は草木の一本、丘の一つもない完璧な平地となっており、そこでは西部劇のように一対一、混じり気なしのタイマン勝負になることが多い。そのため、上で戦う場合弾道予測線を見てから避けられるだけの敏捷値を持っているプレイヤーが圧倒的に有利となる。
また、何かの偶然―――まさに今なのだが―――で片方が割れ目に落ち、もう一方が上に残るといった状況下になった時、下にいる方の勝つ確率は文字通り限りなく地に落ちたと言っていいい。古今東西、まだ戦場にて飛び道具が弓矢に主導権を握られていた頃から、高いところを抑えられた状況というのは有利であることに変わりはないのだから。
「ゼッ……はッ!あッ、あったあった!!」
このステージでのクレバスは、もとは渓谷の、つまり川の名残だ。とすると、その全体的な形状は決して一直線ではなく蛇行し、また――――どこかで別れていないはずなどない。
Y字に分岐した割れ目。その中央の、三角に出っ張った場所に少女はぴょーん、と飛び乗った。
「……ん、バッチリね」
覗き込んだ双眼鏡からは、焦ってしきりに頭上
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