2部分:第二章
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か」
「そうです、この気持ちは変わりません」
毅然とした声になっていた。その顔も。彼の顔には迷いはなかった。
「私は神の御教えを日本の為に使います」
「そうか」
「これで少しでも人々の、日本の助けになれば。そう思います」
「そうじゃな。わし等は結局日本人じゃ」
僧侶が言った。
「その日本の為にわしは鐘を預けたのじゃ」
「心があれば」
「うむ、そう思ってな」
彼は言った。
「そういえば教会にも鐘はあったな」
「はい」
僧侶のその問いに答えた。
「あります。お寺のものとは違いますが」
「長崎の教会には一ついい鐘があったな」
「浦上天主堂のでしたね」
「おお、それじゃ」
僧侶はそれを聞いて声をあげた。
「あの鐘はな。また見てみたい」
「はい」
「この戦争が終わったらな。またな」
「ですがこんな時代ですから」
「それでもじゃ。日本が勝ったらな、また見てみたい」
彼は優しい目をしてこう述べた。これが彼の本来の目なのであろう。
「それか。わし等の今の思いが正しいならば」
「正しいならば」
「皆で見たいのう。ここにおる皆でな」
「いいかも知れませんね」
それに最初に応えたのは牧師だった。
「同じ日本人として」
「うむ」
「鐘をな」
「鐘の音を」
「じゃあ戦争が終わった時にここにいる皆で行きましょう」
神父は話をまとめてこう言った。
「日本が若し間違っていなかったら」
「鐘の音を聴きに」
「長崎へ」
「そうじゃな。佐世保からはちと遠いが」
神主はここで笑った。
「同じ長崎県じゃというのになあ」
「それはな」
「何でこんなに離れておるのか」
長崎と佐世保はかなり離れている。かたや軍港でかたや観光もある商業港である。同じ県にあるというのにまるで違っていたのであった。
「まあそれはいい」
「では戦が終わったら」
「皆でな」
「うむ」
四人は酒を飲みながらそんな話をしていた。戦争がはじまった直後であった。もう港には軍艦は殆どなくなっていた。どの艦も南方に向けて出航していたのであった。
「そうですか、そんなお話を」
大尉は神父からその話を聞いて何か嬉しそうであった。
「皆御国の為に。動いてくれているのですね」
「それは皆変わりません」
神父は大尉に対して言った。二人が話す横ではラジオが何かを伝えていた。
「昨日我が帝国陸海軍は」
「皆今がどんな状況かわかっています」
「はい」
「ですから動いているのです。そして戦っているのです」
「日本の為に」
「及ばずながら私も」
神父もそれは同じであった。何度もそれを自分でも確かめる。
「微力ながら」
「いえ、微力というのはないです」
大尉はそんな神父に対して言った。
「今は一億臣民が一
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