第152話 劉表動く
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を捕縛しろ。その戦功で劉車騎将軍に褒美として静陽の助命を願いでるのだな。今なら他の豪族達もまだ日和見を決め込んでいる。一番に馳せ参じれば劉車騎将軍のお前への心象は良かろう」
「静陽殿の敵になれと」
「伊斗香、お前は静陽を捕縛すると言ったではないか? 今動くより劉車騎将軍のお指図で静陽を捕縛した方がいいに決っている。劉車騎将軍の面子も立つはずだ。お前は静陽に恨まれるだろうがな。お前は静陽を救いたいのだろう?」
劉表は?越を見つめた。
「分かりました」
「伊斗香、お前が兵を勝手に連れていったことにしてくれ」
「それでは私の旗下の七千程の兵しか動かせません」
?越は劉表に抗議の視線を送った。
「それでいい。私が関与したと豪族達に思われるのは困る」
「ご自分の保身のことしか考えておられないのですか!」
「お前とて同じではないか? 保身でないというなら静陽の元に出向き共に劉車騎将軍と一戦交えればいい。私は止めんぞ。お前達が敵に回れば、私は劉車騎将軍の元に逃げ込むだけだ。流石の劉車騎将軍も私を迎えいれてくださるだろう」
劉表は?越に冷たく言い放った。?越は劉表に言われ額に青筋を立てたが、瞑目して深呼吸をした。
「ご自分の身がそんなに可愛いのですか?」
「娘達が都にいるのだぞ、それに荊州にもな。なぜ、静陽のために血を分けた肉親を捨てねばならない。静陽に道理などない。あの女は図に乗りおって! 何故、私が馬鹿者と一緒に心中しなければならない!」
劉表は冷静な表情から一転して険しい表情に代わり感情的に叫んだ。彼女の気持ちを聞かされた?越は何も言えなかった。?越は苦悶の表情を浮かべた。劉表の言葉を?越は痛いほど理解できたからだろう。?越も本音は静陽を見捨てたいと思っていた。だが、長年の同僚だけに中々割り切れずにいた。
「飛鳥様、劉車騎将軍の元に兵を率いて馳せ参じます」
?越は下唇を噛み締め両手の拳を握りしめていた。
「そうか」
劉表は?越の言葉に短く返事した。
「伊斗香、劉車騎将軍にお会いしたら静陽の助命をくれぐれも願いでるな。助命を嘆願するなら戦後にしろ」
「飛鳥様、分かっております。秋佳の件飛鳥様にお願いしてもよろしいでしょうか?」
?越は劉表に拱手する。劉表が頷くと?越は部屋から退出した。
「伊斗香は熱い女だな。散々、敵対する荊州豪族を力でねじ伏せてきた女と思えない。しかし、熱苦しい女が居なくなったことで動きやすくなるというものだ」
誰もいない部屋の中で劉表は独り言をいいはじめた。
「伊斗香には秋佳のことを頼まれたがどうしたものであろうな。とりあえず人を送るだけ送ればいいだろう。失敗したら失敗したでいい。それより静陽を失う穴埋めをどうにかせねばなる
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