第152話 劉表動く
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がいい。追い返されるのが落ちだ」
劉表は?越の話を聞き考えんだ。しかし、直ぐに頭を左右に振った。
「無理だ。伊斗香、静陽は切り捨てるしかない」
「静陽殿は私達とともに荊州北部を掌握するために力を合わせてきたはずです。なんとか命だけでも救うことはできないでしょうか?」
?越は蔡瑁と苦楽を共にしてきただけに性格に多少問題がある蔡瑁とはいえ切り捨てるのは気が引けている様子だった。
「伊斗香、お前も静陽と距離を置くべきと言ったではないか?」
「そうですが」
?越は蔡瑁を見限る土壇場になって気持ちが動揺している様子だ。
「私を一度静陽殿の元に行かせてください。劉車騎将軍の元に丸腰で投降すれば直ぐに斬り殺されることはないはずです」
「それを静陽が飲むと思うのか? 仇と思っている者の元に丸腰で出向き命乞いをしろと言うのだぞ? 私でも説得する自身がないな」
劉表はお手上げだという態度でため息をついた。?越も劉表の言葉に苦悩しているようだった。
劉表は何か思いついたのか?越から視線を逸らす。その様子に?越は気づく。
「飛鳥様、何か妙案でも」
?越は劉表にすかさず尋ねた。劉表は?越に言いにくそうだった。
「静陽を奴婢(奴隷のこと)に落とすなら可能性はある。ただし、劉車騎将軍が静陽を奴婢に落とす意思が必要だがな」
「奴婢とはあんまりではありませんか! 仮に奴婢と落とされたとしても劉車騎将軍に斬り殺されれば意味がありません」
「奴婢になったからといえ劉車騎将軍に斬り殺されるとは限らない」
「私が劉車騎将軍の立場なら斬り殺します」
?越は断言するように言った。
「それはお前だからだろう。劉車騎将軍は情け深い方と聞く。奴婢に落ちた静陽の身を憐れみある程度のことは許してくださるやもしれん」
「自分の命を狙う奴婢など危険以外にないでしょう。劉車騎将軍が手を下さずとも周囲の者達が処分するはずです」
「やはり駄目か。妙案と思ったのだがな」
「奴婢に落とすなど正気ではありません。気位の高い静陽殿のこと舌を噛み死ぬと思います」
?越は劉表に抗議した。
劉表からは蔡瑁を救おうという様子はあまり感じられなかった。彼女は?越に付き合っているだけのようにも見えた。
「飛鳥様は静陽殿を救う気はあるのですか!?」
「ない」
劉表はきっぱりと答えた。
「なんと。義姉妹の間柄であまりに冷たくはありませんか?」
「救うために何もしないとは言っていない。救うために努力はする」
劉表はやる気のない態度で?越に答えた。
「?越、静陽を救いたいか?」
「当たり前です」
「ならば今宜城にいる兵を引き連れて劉車騎将軍の元に馳せ参じろ。そして、襄陽攻めで先陣を受け持ち静陽
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