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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第152話 劉表動く
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ていた。
 劉表と面会を終えた荀爽は休息を取ることなく直ぐに南陽郡宛城に向かった。

 荀爽が去ると劉表は一人玉座に座したままだった。しばらくすると一人の女が入ってきた。服装は文官であったが武人を思わせる雰囲気は放っていた。劉表は女を視線で捉えるだけで何も喋らない。

飛鳥(あすか)様、朝廷からの使者は何と?」
「都へ召還命令が下った。私には劉車騎将軍の暗殺未遂の嫌疑がかかっている」
「何と!? 飛鳥様が何故に上洛しないといけないのです。静陽(せいよう)殿の乱心が元凶ではございませんか?」
伊斗香(いとか)、静陽だけでなく倫陽(りんよう)までも関わっている。この期に及んで知らなかったと言った所でどうもならん」

 劉表は厳しい視線を女に向けた。彼女は?越(かいえつ)。劉表の側近であり荊州北部統治の一翼を担っていた。

「大人しく上洛するしかないのでしょうか? おめおめと上洛して飛鳥様の身に何かあれば一大事です」

 ?越は劉表が上洛することに賛成していない様子だった。

「では上洛を拒めというのか? 私に死ねと言っているようなものだぞ」
「上洛する前に劉車騎将軍に繋ぎをとり、飛鳥様が潔白であることを納得していただかないと」
「そんなこと分かっている。荀侍中に劉車騎将軍に会う段取りを整えて貰えるように頼んだ」
「使者殿にそのようなことを頼まれたのですか?」

 ?越は驚いている様子だった。中央の官吏に借りを作り弱みを握られるのではと危惧している様子だった。

「仕方あるまい! 背に腹は変えれなかったのだ。劉車騎将軍は私を警戒して屋敷に籠もっている。紫苑め。あの女は保身のために私のあらぬ嘘を劉車騎将軍に吹き込んでいるのではあるまいな」

 劉表は眉間に皺を寄せて愚痴りだした。

「紫苑がそのような真似をするはずがありません」
「では何故に紫苑は劉車騎将軍の臣下になったのだ?」
「彼女は静陽殿に劉車騎将軍襲撃の実行犯に仕立て上げられたのですよ。推測ですが紫苑は劉車騎将軍に臣下になることを条件に助命されたのでしょう。私達がそれを責めるなどできましょうか?」
「伊斗香、いちいち言わずとも理解している。だが、旧主である私の頼みを聞き届けてくれてもよかろう。劉車騎将軍に一言伝えてくれるだけで済む話ではないか?」

 劉表は恨みがましい視線を?越に向けた。

「紫苑とて立場が不安定なだけに必死に居場所を作ろうとしているだけと思います」

 ?越は黄忠を擁護していた。劉表は?越の言葉を聞き沈黙した。彼女も黄忠に負い目を感じているように見えた。彼女が知らなかったとはいえ、黄忠は娘を人質にされ義妹に脅迫され正宗を襲撃するしかなかった。黄忠に合わせる顔がないというのが本音なのだろう。だが、苦境にある劉表とし
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