第152話 劉表動く
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を期待していることが分かったからだろう。
「劉車騎将軍は荊州南陽郡の宛城にご滞在のはずです。劉荊州牧が直に訪ねられればよろしいかと」
荀爽は劉表に無難な受け答えをした。劉表は荀爽の答えに苦笑した。正宗が劉表を自分を襲撃した一件に関与していると思っていたら劉表に会うはずが無い。
「劉車騎将軍には使者を何度も送ったがいないの一点張りでお会いできずにいる。劉車騎将軍は二度目の襲撃以来、袁太守の屋敷に籠もったまま姿を現さないそうだ。これでは忍んで宛城に赴いても会えないであろうな」
劉表は荀爽に自嘲しながら答えた。荀爽は言葉にこそ出さなかったが、彼女の表情は「ご愁傷様です」と語っていた。
「残念ながら私は劉車騎将軍と伝手がございません」
荀爽は劉表の頼みをやんわりと断った。
「劉車騎将軍の奥方の側近は荀文若殿と聞き及んでいる。荀侍中のご親類では?」
荀爽の断わられると劉表は桂花の名前を持ち出した。
「荀文若ですか。確かに私の姪でございます。劉荊州牧が姪の名を知っているとは驚きでございます」
荀爽は疲れた表情で劉表の問いに答えた。
「朝廷の重臣の関係者のことは一通り知っておくことにしています」
劉表は口に笑みを浮かべて答えた。
「私が荀文若の伯母とはいえ、劉車騎将軍の面会の場を設けるように頼むのは無理が過ぎます」
「劉車騎将軍と面会が叶うなら、面会の条件がいかようなものでも飲もう」
「いかような条件でもございますか?」
「流石に何でもとはいかぬが面会に関係する条件であれば全て飲もう。警護を付けず単身で来いというなら単身で出向く」
劉表は発言を少し訂正したが正宗の出す面会の条件を全面的に飲む用意があるようだった。荀爽は劉表の態度にこれ以上頼みを断るのは無理と悟った。
「劉荊州牧、結果はあまり期待しないでください」
劉表は荀爽の言葉を聞くと笑みを浮かべていた。
「聞いて貰えるか。この恩は生涯忘れぬぞ」
「劉荊州牧、劉車騎将軍との面会の件ですがお約束はできません」
「分かっている。力を貸して貰えるだけで感謝している」
劉表の様子から彼女が八方塞がりの状態に陥っていたことが窺えた。
「荀侍中、荊州に滞在される間は劉景升が不便を感じることが無きようにさせていただく」
「いいえ。過分の計らいは無用にございます」
「荀侍中は清廉な方のようだな。荀侍中が使者で本当に良かった。そのような人物に会えたことは私にとって僥倖といえよう」
劉表は荀爽を褒めたが、当の本人である荀爽は拱手して返事をするのみだった。荀爽も劉表の頼みを聞いたが、劉表のことを完全に信じていないのだろう。劉表も荀爽の様子から何かを感じとったのか時折観察するような視線を送っ
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