暁 〜小説投稿サイト〜
インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
第2話《織斑一夏という人間》
[2/3]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ズ。決断は一瞬だった。
打鉄は整備室内に並べられている。どれも俺より大きいが細工をする部分はちょうどいい高さにある。
一機目の細工を終えた時、予想外に時間がかかり、俺は焦っていた。
ーーまずい・・・。まずい。このままではまた、足を引っ張るだけだ。『モンド・グロッソ』の時もそうだった。俺がさらわれなければ・・・。俺が馬鹿にされるだけならそれでいい。でもいつも『織斑千冬の妹』、がついてくるんだ。
どうしてみんな比較するんだ。出来ないのは俺だけだ、千冬姉は関係ないだろ?
『必ず力がほしくなるもの』
スコールの言葉が思い出される。
力・・・それがあれば俺はこんな思いをしなかっただろうか。
こんな行動をとらなかっただろうか。
ブブブブブ
突然のバイブに俺の心臓ははね上がった。
メールだ。こんな時間に・・・?少し、いや、とても嫌な予感がした。
無題で、初めてみるアドレス・・・
『今までの貴女を見てきました。
そんな細工では開催が延期され
るだけです。力を、貸しましょ
うか?』
血の気が引くのがわかった。
そんな・・・細工・・・誰か。見て・・・
その時だった。
俺の後ろに誰かが立っていたのに、俺はやっと気づけた。
俺が振り向く前に、誰かが俺を後ろから抱き締めた。
「怖いのよね?また・・・お姉さんと比較されるのが・・・」
とても優しい声で誰かが耳元でささやいた。
スコールの声だ。優しい声だ。優しい声のはずだ。でも、震えが止まらない。全身から汗が吹き出す。足が震えている。
「貴女は、もう解っているでしょう?『人々』はとても残酷なの・・・。でも、『人』はとても優しいものなのよ?私なら、貴女の『人』になってあげられる。」
俺は床にへたりこんだ。
ーーどこか・・・どこかで聞いたんだ。どこか暗いところで、この声を。
スコールはへたりこんだ俺の前で膝をつき、話しかけた。
「ねぇ、あなたが、協力してくれるなら・・・明日の試合、中止にしてあげられるわよ・・・?」
笑み。それはとても美しく、誰もを魅了させるはず。だのに、俺には悪魔のそれにしか見えなかった。
この人は、危険だ。
ーーーーそう、わかっていた。わかっていたんだ。
・・・でも、俺は、もう千冬姉に迷惑をかけたくなかった。『織斑千冬の妹』という、汚名をこれ以上作りたくなかった。
こんなのはその場しのぎなのはわかっている。でも、俺は目の前の悪魔にすがってしまったんだ。
俺は・・・首を縦に振った。
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ