6部分:第六章
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彼等は解散させられその表にある財産は全て没収された。そのうえで主立った者達は火炙りに処せられることになった。
その処刑の日。長きに渡る凄惨な拷問によりその身体をボロ布の様にさせられた騎士団の者達が引き立てられてきた。腕や脚をなくしているものもいれば顔が原型を留めていない者も立てなくなり橇に曳かれる者もいる。あまりにも無残な姿を晒しながら引き立てられてきた。
彼等は群衆に囲まれている。真実を知らない彼等は騎士団の者達を異端と信じ込み口々に罵声を浴び掛けていた。
「異端は死ね!」
「地獄に落ちろ!」
「フランス王万歳!」
「教皇様万歳!」
そしてフランス王と教皇を讃える。やはり何も知らないままに。
そこには王もいた。一際高い場所に座を設けそこに衛兵や家臣達に囲まれ見事な服を着て騎士団達を見下ろしていた。その顔は確かに王者のものではあった。
その彼が。騎士団の者達に対して言うのだった。
「異端の者達よ」
ここでは正義を守護する王の顔をしていた。
「その罪を己の死によって償うがいい」
「戯言だ」
「そうだ、我等は異端ではない」
彼等はまだそれを認めようとはしなかった。
「我等は陥れられたのだ」
「王と教皇、貴様等に」
そしてこう言うのだった。口が聞ける者は。口さえも完全に壊され話せなくなってしまった者もいたのだ。顔がほぼ壊れてしまっている者さえいた。
「陥れられたのだ」
「この恨み、忘れんぞ」
「異端が何を言うか!」
「陛下を愚弄するな!」
「神を否定するか!」
だが何も知らない群衆達は彼等のその言葉を否定した。そうして石を投げ彼等を攻める。王はその彼等に対して厳かに言うのだった。
「止めよ」
「何故ですか、王よ」
「異端に情けは」
「それは違う」
あくまで謹厳な王として振舞う。
「異端を裁くのは誰か」
「神です」
「そう、神だ」
自身の民衆に対して語る。王の仮面を被り。
「私ではない。ましてやそなた達でもない」
「ではどうすればよいのですか、我々は」
「彼等をどうすれば」
「見ているだけでよい」
謹厳な王としての仮面はまだ被っている。
「それだけでよいのだ。彼等が裁きの炎に裁かれるのをな」
「裁きの炎にですか」
「それでは」
「うむ、私と共に見守ろう」
さりげなく民衆を自分の手の中に収めてしまった。
「彼等が裁きを受けるその時をな」
「わかりました、それでは」
「是非。我々も陛下と共に」
「見るのだ」
またしても厳かな動作を芝居して己の民達に告げる。
「おぞましき異端の者達が裁きを受けるその姿をな」
「さあ異端よ焼き尽くされろ!」
「神の裁きの炎でな!」
「神の裁きか」
それを聞いた騎士団の者のうちの一人が忌々しげに顔を歪めさせた
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