その頃
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ていた主神をおろそうとした。
が、それは寝たままノエルの服をがっしり掴んでいるテュールの手に阻まれた。
背をなかなか離れないことに首を傾げるも、振り返りすぐに原因に気付くと、慈しむような微笑を浮かべると、そっと指を解き、ベッドに下ろした。
ノエルの背を離れる際、少々ぐずるように抵抗したが、さ迷わせていた手がデイドラに触れると、すぐにデイドラの腕にしがみついて深い眠りについた。
その様子をノエルは母のような眼差しで見ていた。
(前にもこんなことがあったか)
そして、昨夜の情景を思い出して、更に笑みを深めたが、
(私がデイドラを、いや二人を守らなければ)
すぐに口を一文字に引き結んだ。
(テュール様もきっとこのままではだめだとわかっている。なら、私がどうにかしなければ――)
と、使命感を持って考えたその時だった。
「アァッ…………ッ!」
「!!」
デイドラが身を反らさせ、傷をえぐられたときのような悲痛な呻声を発した。
それをかわきりにどっと汗が吹出し、まるで熱湯に入れられているかのようにもがき苦しみはじめた。
「デイドラ!」
ノエルは咄嗟にデイドラをテュールから離し、抱き寄せた。
「がぁっ!は、離せ!離せよっ!!消えろ!!消えてくれ!!」
すると、大声で足や腕をがむしゃらに振り回しはじめた。
「デイドラ。落ち着け。私だ、ノエルだ」
そのデイドラをノエルは抱きしめ続けた。
デイドラの拳が頬を捉えても、加減のない膝が腹部に入っても揺るぎもせず、ずっと耳元で「大丈夫だ」と囁きつづけた。
その声か、服越しに伝わる温もりか、それとも両方か、もしくは全く別の要因でか、デイドラは次第に振るう四肢に込めていた力を緩めていき、やがて完全に力を抜き、糸が切れた人形のように垂らさせた。
それを確認して、ノエルはデイドラの肩越しに主神を見た。
テュールは最愛の抱き枕を奪われたが、相当疲れているのか、デイドラの大声にも起きず、寝息を立てて熟睡していた。
そのことに胸を撫で下ろしたが、
「ノエル、痛い」
「す、すまない」
デイドラの力のない声に自分が知らず知らず強く抱きしめていたことに気付いたノエルは慌てて、腕を解き、デイドラを解放して、顔を逸らした。
そのノエルの頬はほのかに赤く染まっていた。
突然のことだったから咄嗟に抱き寄せてしまったが、今思えば異性を抱き寄せたことなどない自分にとって、かなり大胆な行動だったと遅蒔きながら気付いたのだ。
「この傷」
「っ!」
その逸らした顔にデイドラの指が触れた。
ノエルは肩を飛び上がらせて後ずさって、触れらたところを手で押さ
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