その頃
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が作っているのを見て作ったのよ」
ミネロヴァはリズに視線を向けて言った。
「わ、私は作ったら喜ぶと思って、それで…………」
「私のところに放り出して、デイドラを助けに行ったのよね?」
「うぅ…………」
「自分のを持ってくるついでにあなたのまで持ってくる私はなんて優しいのかしら、わざわざ敵に塩を送るなんて」
ミネロヴァは悩ましそうに片手で顔を覆うが、声音にはその気配は感じ取れなかった。
「その、それで、デイドラに私が作ったサンドととミネロヴァさんが作ったオムライスを食べ比べしてもらおうと思っていたのですけど、すいませんでした!出過ぎたことでした!!」
「いや、もう謝らなくていい。それより、作ると喜ぶのか?」
ノエルは何故か真剣な眼差しでリズを見てからデイドラに目を向けた。
「…………」
視線を向けられたデイドラは心のうちに葛藤を抱え、黙り込む。
作ってくれたことには勿論感謝はするし、心が温もって嬉しいが、それを口にするのはあまりにも気恥ずかしくて躊躇われたし、あまりにも全開の二人の好意に気後れしているのだ。
「い、嫌だったかな。嫌だよね、やっぱり。勝手に作ってごめんね」
しかし、黙り込んだのを暗に否定しているのだと思い込んだリズが手に持っていたサンドをしょんぼりとしながら片付けはじめたのを見てデイドラは早急な解答を迫られた。
「嫌い…………じゃない」
顔を赤くさせて俯きながらぼそぼそと答えた。
「え、いいって……こと?」
「うっ…………」
「どうなんだ、デイドラ?」
「むぅ…………」
「はっきり言わないと私たちは勘違いするかもしれないわよ?」
「ぐっ…………」
精一杯恥ずかしさを忍んだ解答だったが、無論それで三人が納得するはずもなく、デイドラは三人に問い質される。
というか、ミネロヴァに関しては完全にこの状況を楽しんでいるようだった。
「…………作ったら、食べる」
耳まで赤くさせて、先ほどよりも小さくなった声で答えた。
「やったーーっ!じゃあ、食べて!」
「ちょっと、私が先よ。それとも、そのバスケットを誰が持ってきか忘れたのかしら?」
「そうか、嬉しいのか」
了承を得た三人は三者三様の反応を見せた。
リズはずっと欲しかったものを買ってもらった幼児のように喜びで満たした満面の笑みを浮かべて、デイドラにサンドを突き出し、ミネロヴァは負けじとそのサンドを払って、小分けにしたオムライスを載せたスプーンを突き出し、ノエルはこれからのことに深く考えを巡らせた。
デイドラはというと、まるで自分が食事を口に運ばれている子供のように思えて、羞恥に身を小さくして、首まで
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