17.キャットシッター・ミネット
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なく咄嗟にその場を弾かれるように飛びず去ったその空間を――『斬撃』が飛ぶ。
「ウゥゥゥ……フシャーッ!!」
「うおぉぉぉぉぉぉッ!?お、俺の一張羅が……などと言ってる場合じゃないか!?」
空を切った猫の爪が、足場の石煉瓦を深々と抉り取った。
辛うじて躱したその斬撃が服の脇腹を切り裂き、中の皮膚が裂けてじわりと血が滲む。
(……ど、どういうことだ!?これが猫の引っ掻きの威力か!?)
完全に避けたつもりだったのに想像以上に鋭い。というか、そもそも猫の引っ掻きにこんな殺人的な威力がある訳がない。直撃を受けたら内臓ごと引き裂かれかねない。最早それは魔物の一撃に匹敵する。
そして、その斬撃を飛ばしたのは――猫。
魔物でもなんでもない、どこにでもいるその動物が、リングアベルの命を脅かした。
公園に集まっていた何の変哲もない猫が、恐るべき殺意と共にその斬撃を放ったというのだ。
見ればどの猫も低い唸り声を上げながら、尋常ならざる敵意を噴出させて一斉にこちらを睨んでいる。その獰猛なまでのギラついた目は、捕食者が放つそれ。
リングアベルを囲う猫の目、目、目………猫による包囲網が完成していた。
「何故猫の力がこんなにも強い!?そしてどうして俺を……この猫たち普通じゃないな。ミネット!いったい彼らに何があった!」
「そこは『何をした』って聞くところにゃ。それとも、ミネットが皆を嗾けたとは信じたくにゃい?」
「………えーっと、な、なるだけ考えたくはなかったな」
実は本気で気付いていなかったことは決して口に出さないのがいい男の条件……かどうかは定かではないが、相手が子供のミネットでなければ彼の首筋に流れる焦りの冷や汗を目ざとく発見したことだろう。肝心なところで抜けた男である。
だが、そんなリングアベルにも分かっていることはある。
それは――今日、自分が確実にこの『狩場』におびき寄せられたという事実。
訳が分からない。なぜこのような事態に陥っているのかがリングアベルには分からなかった。
「どういうつもりなんだ、ミネット!」
「どーいうつもりもこーいうつもりも……答えは一つしかにゃい」
ミネットがゆっくりと腰から片手斧を抜く。魚の頭の骨を象ったような片刃の刃が煌めき、リングアベルに突き付けられる。それに呼応するかのように猫たちの敵意が最大限に高まった。今、目の前にいるのは人間から餌を貰って満足する猫ではない。彼らは狩人。人すらも狩るハンター。
そして、それを統率するミネットの瞳に宿るのは確かな殺意と――ミネットのそれではない何者かの悪意が、リングアベルに突き刺さる。逆光から逸れてやっとはっきり見えたミネットの顔を見たリングアベルは、そこでやっと彼女に起きている明
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