17.キャットシッター・ミネット
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先日出会ったキャットピープルの少女、ミネット。
別れる直前、彼女の様子はどこかおかしかったように感じた。秘密が女を美しくする、と前に言ったことがあるが、あれは彼女のような幼い少女が抱えるには余りにも不釣り合いなものだと俺の直感が告げている。
できれば彼女が何故そのようなものを背負っているのか知りたい。あの小さな背中に背負うには重すぎる荷も、何かしらのきっかけで減らすことは出来る筈だ。肩代わりすることも、もちろん。
それに、曲がりなりにも女性からのお誘いをドタキャンなど男のやることではない。
ただ――日記にある「怪物祭のイザコザ」だけが頭の隅に引っかかったため、念のために帯刀だけはしておいたが。
ワイワイと賑わうオラリオの通りを悠々と歩き、予定の待ち合わせより心持ち早めに移動する。
そんなリングアベルに、周囲の知り合いや友達から声がかかった。
「よぉ、リングアベル!一人たぁ珍しいじゃねえか!今日は女連れじゃないのか?」
「これから行くところさ!屋台、儲かると良いな!」
「ハァイ、リングアベル!いい肉仕入れたんだけど、お昼に食べに来ない?」
「ふむ、魅力的なお誘いだが、行けるかはちょっと分からないな……」
「リンガーベル先輩ちーっす!またナンパのしかた教えて下さいよ〜!」
「……取り敢えず、人に頼みごとをするときは名前を間違えない事をお勧めするぞ」
「リングアベル〜!うちの猫のリンリンが朝からいないの!貴方どこにいるか知らない?」
「頼りになりそうな知り合いがいるから頼んでみるよ!無事見つかった暁には食事でもどうかな?」
なんやかんやで人気者。このオラリオ内で人気者は数いれど、彼ほど気軽に話しかけやすい有名人はそういない。おかげでリングアベルは知ってるけどヘスティア・ファミリアは知らないなどという奇妙な逆転現象まで起きている。
そんなリングアベルを快く思わない者もまたいるのだが……そんな相手にも馴れ馴れしく話しかけて心の距離を縮めるのがこの男の分からない所だったりする。
やがて彼の足は止まり、昨日約束を交わした公園へと辿り着いていた。
「さて、ミネットの姿は………って、なんだこれは!?」
リングアベルは公園に広がる光景を見て己が眼を疑った。
大量の猫、猫、猫……昨日にミネットの下に集まっていた猫のゆうに5倍以上はいようかという夥しい数の猫が、その公園を占拠していた。猫たちは木にマーキングしたりじゃれ合ったり毛繕いしたりと自由気ままに呑気に過ごしている。
しかしこれは何事だろうか。中には金色のバッジをがじがじ齧って遊んでいる猫もいるが、普通これだけの猫が一堂に会する機会など無い筈。猫が集まる原因は……ミネットだろうか。彼女がここを指定したのだから無関係ではないだろ
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