暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
2期/ヨハン編
K17 正義のために悪を貫け
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


「逃げないでくださいね。逃げたらキミを、もっと強引な方法で連れ戻さないといけなくなりますから。そうでなくとも、ここがどこかも分からず遭難して、二度と友達に会えなくなるのはイヤでしょう?」
「――はい」

 未来が肯くと、ヨハンはケージのスイッチを押した。光熱の格子が消えると、ヨハンは持ってきた物を未来の前に置き、再びスイッチを押した。光熱の格子が再形成された。未来は再び虜囚となった。

 シチューの器を持ち上げる。

「――――」
「毒なんか入れてませんよ。そんなことをするくらいなら、そもそもスカイタワーでキミを助けてません」

 未来はスプーンを持ち、思いきってシチューを一口食べた。
 一度物を口に入れると、自分が空腹だったのだと自覚して、未来はいつもよりハイスピードにシチューを食べ進め、あっというまに器をカラにした。後味は、ミネラルウォーターを一気に飲んで消した。

「あの…ごちそうさま、でした……これ、ヨハンさんが作ったんですか?」
「作ったのは調。冷蔵庫の残り物を材料にね。口に合ったのならよかった」

 不思議な人だ、というのが未来の率直な感想だ。

 マリアのように終始厳しく眉根を寄せるでもなく。
 ここに連れて来られた時に見かけた少女二人のように元気のない顔をするでもなく。

 笑っている。
 この状況で。
 未来を本心から気遣って――憐れんで。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ