八十九 目には目を 歯には歯を
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いた。
しかしながら次の瞬間、ヒナタは眼を見張った。
「……ッ!?」
手応えが、無い。
反射的に鬼童丸から距離を取る。【白眼】で見えた体内の経絡系を切るまでに及ばなかった。訝しむヒナタの視線を受けた鬼童丸が口角を吊り上げる。
「ふー…危ねぇ危ねぇ」
ちっともそんな風に思っていない風情で、鬼童丸はわざわざヒナタに見せつける。
【柔拳】を受けた腹部を金色の体表が覆っていた。
【蜘蛛粘金】――体外に出ると瞬時に硬質化する特徴を持つこの粘金物質は、チャクラを通さない。
また、体中の汗腺から金属を分泌させ金色の体表で覆えば、チャクラを用いた攻撃に対して防御が可能だ。
一方、【柔拳】とは内面的損傷を与える物理攻撃。【柔拳】をまともに喰らえば、経絡系をやられてチャクラが練れなくなる。その情報を前以て知っていた鬼童丸は【粘金の鎧】で咄嗟に防いだのである。
(【柔拳】が効かない…?でも、遠距離戦は分が悪い。接近戦に持ち込まないと…)
(【柔拳】相手に接近戦は無いな…。遠距離戦に持ち込むか)
緊迫めいた空気。互いが互いの動向を窺う。
しかしながら、緊張感溢れるこの戦況を鬼童丸は愉しんでいるようだった。つい悪い癖が出てきてしまう。
高く跳躍すると同時に印を組む。あやとりの如く手から伸びた蜘蛛の巣をそっくりそのまま大きくしたかのような網と巨大な蜘蛛が突如出現した。
鬼童丸が【口寄せの術】で呼びだした巨大蜘蛛――『雨蜘蛛』。
警戒しながら見上げるヒナタを尻目に、雨蜘蛛の卵嚢から次から次へと子蜘蛛が生まれてゆく。
「――――散れ!!」
鬼童丸の号令を皮切りに、巨木に張られた巣から子どもの蜘蛛が飛び降りてくる。小さな蜘蛛達は真下のヒナタ目掛けて、我先にと襲い掛かった。
無数の蜘蛛が頭上から飛び掛かってくるなど、女性ならば発狂してしまうほどおぞましい光景だ。
けれどもヒナタは少しも怯まなかった。
若干の不安はあったかもしれない。しかしながらそれは蜘蛛に対してではなく、彼女自身にあった。
瞳を閉ざす。深く呼吸した直後、彼女は構えた。日向宗家のみに伝わる術を構える。
足下に象られる八卦の円。
「【柔拳法・八卦三十二掌】!!」
撃ち落とされる子蜘蛛達。
八卦の領域内に入った敵を、ヒナタの柔拳が叩き落としたのだ。
遠く離れた場所から様子を窺っていた鬼童丸が思わず口笛を吹く。
「……面白い…」
指先に絡めた蜘蛛の糸を解く。
同時に周囲の木々に張り巡らせていた蜘蛛の糸が、【蜘蛛粘金】で硬質化させたクナイを解き放つ。
クナイの形をした金属がヒナタの身体を突き刺さんと、その鋭い刃先を向けた。
「この包囲網に耐えられるかな?」
【八卦三十二掌】で蜘蛛を迎撃してい
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