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dead or alive
第九話 『本当の始まり』
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ア狂犬病が日本に入った痕跡はないのかね?」

「ええ。その点も調べているのですが、空港や港には秘密裏にCH(cloak hill)スキャナーを配備して監視していたのですが、国内にウィルスが持ち込まれた形跡は見つかりませんでした。それに……」

「それに、なんだね?」

俺の言葉に引っ掛かったのか、疑問は間を置かずに飛んできた。

「それに、G8に加盟している国で同時多発的に感染爆発が起こったとなると、やはり同時多発的なバイオテロの可能性が捨てきれません」

石井は再び腕組をすると、考え込むようにして黙りこんでしまった。そのままどれくらいの時間がたっただろうか。その沈黙は、俺の予想もしなかった出来事で破られた。

ガタン!

と乱暴に主任研究室の扉を開けたのは、俺の部下松尾雪斗三等陸尉だった。

「主任!緊急事態です!第二試験場に向かった地上支援部隊が正体不明の敵の襲撃を受け、全滅したそうです」

「な、なんだと!?」

驚きの報告に、俺は目を丸くしながら硬直してしまった。それは石井も同様だったようだ。

「……一体、なにが起こっているんだ……!」

石井のその言葉は、主任研究室の空気をドンと重くするのには、十分すぎるものだった。

ーーーー月見ヶ丘公園

ドカーン!!

と言う大きな音とともに、軽い地響きが公園全体、いや、市街地全体を包み込んだ。

「今度はなんだ……!」

小さくも力強い声をあげると、後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。

「零斗!!」

それは紛れもなく陵太だった。

「どうしたんだ陵太!今のは一体……」

俺の言葉を遮るかのように、陵太は声を荒げて言った。

「自衛隊の車両群が襲撃されてる!銃撃戦も始まってるぞ!」

この日本でそんなこと……と思ったが、耳をすましてみると、遠くからタタタタタタッという音が聞こえてきた。

「マジかよ……」

俺が力の抜けた言葉を口にするのと同時に、俺たちの頭上を、自衛隊のF35Jライトニングが通り抜けようとしたその瞬間……!

市街地から、一筋縄のオレンジ色の光が、頭上でホバリングしていたF35へ向けて一直線に飛んでいき、次いでそれは暗くなり始めていた空を明るく照らすように爆発した。

「なっ……!」

あれはたしかスティンガーとか言う誘導ミサイルだったはずだ。だが炸薬量はあまり多くないんだと、昔陵太が言っていた。

まて、炸薬量が少ないと言うことは、機体は空中で完全には爆散しない……まずい!!

「皆にげろ!!!機体が堕ちてくるぞ!!!」

俺がそう叫ひ終えるのとほぼ同時に、左翼を失った機体は、おれたちのキャンプへと墜落し、大きな爆発を起こした。

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