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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-31
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揺らして、慌てている女性もその一人だった。
さらには、学園の屋上の日陰になっているところで誰かと電話している黒いレディーススーツに袖を通した凛とした女性、織斑千冬もその一人である。そして電話の相手はアメリカ国家代表イーリス・コーリングその人だった。
「どうした、そっちから電話をかけて来るなんて珍しいじゃないか」
『ああ、福音の件でちょっとな。いまだにあのナタルが死んだって信じられないんだ』
「……私も出来れば嘘であってほしかったが、確かに海に沈んでいったのを確認しているんだ。今更覆すことなんて無理だ」
『そんなことは分かっているんだ。分かっているんだけど……』
電話の向こうのイーリスは憤りを隠せないといった様子である。だが、まだ向こうの要件にまで話が進んでいない。千冬は彼女を落ち着かせて先を促した。
「落ち着け。まだ用件も済んでいないだろう?」
『……くっ、あ、ああ、済まない。それでだ、突然だが、ストライク・ワイバーンズという言葉を聞いたことはないか?』
「ストライク……ワイバーンズ…………いや、済まない。聞いたことがない。新手の秘密結社か何かか?」
『色々と掠ってるな。詳しい内容は資料をFaxで送るんだが、出来るだけ他の人の目に入れたくない。今から十分後に学園に送る。一番に取ってくれよ』
「なっ……いきなりだな。まあ、いい。十分後だな?」
『ああ』
「分かった。何かあったらまた掛ける」
通話ボタンを押し、電源を落とすと若干の急ぎ足で職員室に向かう。夏休みに入っていることもあって校舎には生徒の姿はほとんど見えない。誰にも話しかけられることなく職員室までたどり着くことが出来た。
職員室に入っても人の姿はほとんどない。誰が何をしていようが関係ないが、こうまで人がいないと何らかの作為が働いていると変に邪推してしまう。実際にはそんなことがないのだが、どうしてだろうか。と考えるのもこの程度にしておいて、千冬は時計を見た。
あれからまだ七分程度しか経っていない。わずかに上がっていた心拍を落ち着かせて、資料を取ったらコーヒーでも飲もうと、備え付けられているコーヒーメーカーのもとへ向かう。そうこうしているうちにFaxが音を立てて動き始めた。
印刷されて出てきた数枚の紙を纏めて取るとそのまま目を通した。
「……………………これは……」
資料に書いてあったことは、これまで推測にすぎなかった千冬の考えをすべて確信に近いものに変えてしまうものだった。そして脳裏によぎるのはこれまでの束の意味ありげな言葉の数々。
もしあの時こうしていれば……。もしあの時束を止めていたら……。千冬の中でそんなたらればな想いが思い起こされては霞のように消えていく。ため息を一つついて今までの考えを
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