2期/ヨハン編
K16 戦えないわたし
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し、わたしだって!」
「いつか本当にわたしが困った時、未来に助けてもらうから。今日はもう少しだけわたしに頑張らせて」
響は、詠った。
「 ――Balwisyall nescell Gungnir tron――」
体内のガングニールがエネルギー粒子となり、響の全身を装甲して固着した。
それを見届けたヨハンが跳び上がり、展望室から出た。追いかければ、ヨハンは手近なビルの屋上に着地し、響を見上げていた。
響もまた跳び、ヨハンの待つビルの屋上へと降り立った。
開始の合図はなく、バスタードソードの剣先から炎弾が放たれる。
一撃入魂。響は自分に向けられた炎弾だけを正確に打ち落とした。
「依存してるんですね。戦いに」
「――え?」
ほんの数日前に対峙した時のように、響は動きを停めてしまった。
だがヨハンは、今度は不意打ちを仕掛けたりはしなかった。
「――――」
それ以上を追求せず、ヨハンはバスタードソードを構え直した。響も慌てて拳を正眼に構えた。
直後、一際大きな爆音が背後で鳴った。
反射的にふり返る。
煙を上げているのは、たったさっきまで響が未来と一緒にいた場所。
「未来ゥウウウウウッ!!」
もはや戦っていた相手も、自分が戦っている最中だということも、響の頭から消えた。
未来が。未来がいた場所が爆発した。未来は無事なのか。今の爆発で未来が――死んでしまっていたら。
向かおうとした響の、腹を抱えて、ヨハンが響を止めた。
「あの爆発の中に突っ込む気!? 死ぬよ!」
「あたしが死んでもいい! でも未来は…未来はぁッ!! うあああああッ!」
ヨハンの腕を逃れようと響は両手で強く彼を叩いた。殴るように暴れた。それでもヨハンは離さなかった。
「何で…こんなことに…っ」
響はその場に崩れ落ち、その拍子にギアは解けた。
涙が溢れて落ちて止められない。
ヨハンが無言で去ったことさえ、今の響には思案の外だった。
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