2期/ヨハン編
K16 戦えないわたし
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響の命を救ったという現実だけだ。
「あの! 助けてくれてありがとう…ございます。でも…何でですか。F.I.S.の人なのに…どうしてわたしを助けてくれたんですか?」
響はヨハンの答えを待った。F.I.S.側で初めて会話が成立した人だ。もっと話したい。話せば妥協点が見出せるかもしれない。
傍らの未来が不安げに響に身を寄せてきた。響は未来をしっかりガードしつつ、待った。
「キミは前に僕の大切な人たちを救ってくれました。そのお礼です」
「大切な……調ちゃんと切歌ちゃん?」
先日、絶唱を放とうとした二人を止めた。それくらいしか響に心当たりはない。
「調は特に、キミに酷いことを言ったでしょう? それなのにキミは我が身を省みず彼女たちを救ってくれました」
ヨハンは塞がった階段の前に立った。見守っていると、ヨハンはまたバスタードソードを出し、階段を塞ぐ瓦礫を横薙ぎに払いのけた。
「さあ、行って。申し訳ないけれど、僕のギアは空を飛べません。ここから先は自分たちの足で走ってください」
言うだけ言って、ヨハンはどこかへ行こうとしたので、響はついヨハンを呼び止めた。
「一緒に…力を合わせることはできないんですか!?」
ヨハンが響をふり返った。
「だって、ヨハンさんたちもわたしたちも、月の落下を止めたいのは一緒じゃないですか。みんなで力を合わせれば、きっと、もっと、ずっと! 大きな脅威にだって立ち向かえると思うんです。だから……!」
「それは……難しい注文ですね」
返されたのは、憫笑。
「僕らは……武装組織“フィーネ”は、目的のためには手段を選びません。例えばキミの後ろの彼女のような、無関係な一般人を殺してもきました。キミたちはそんなやり方を許せないでしょう? だからキミたちと僕らは対立するんです」
「そんな…目指す場所は同じなのに、争わなきゃいけないなんて、わたし、分かりません!」
「それですよ。キミにそう言わせる『正義感』が、僕らを敵対させる。月の落下という大きな災害を防ぐために遠回りでも、ヒトとして正しいこと。僕らもそうなれたらよかったけれど。僕らは目的のために『悪』を貫こうと決めました。そのほうが確実に、適切に人々を救えると結論を出したから」
ヨハンの左腕装甲が消え、白金のバスタードソードとなってヨハンの手に握られる。
「僕にキミを助けさせた感謝の気持ちは誓って本物です。だけど、組織の目的を達成したいのも僕の強い本心。さっきも言いましたが、これは一度限りの『お礼』です。去って友達を守るか、僕と戦うか。選んでください、ヒビキ・タチバナ」
逡巡はなかった。
未来をふり返る。
「あたしが戦ってる間に、未来はここから逃げて」
「そんな……わた
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