3部分:第三章
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れは容易い」
だが曹操はそれでも言う。
「御前ならばこそだ」
「そうなればいいがな」
「ではまずは南皮に戻るがいい」
「うむ」
「諸侯への激はわしが用意しておく」
筋書きを書くのは自分というわけだ。袁紹は曹操の手際のよさを耳にして内心感嘆せずにはいられなかった。やはりできると感じたのだ。
「御前はそれに乗ってくれ。いいな」
「わかった。それではだ」
「然るべき場所でな」
「うむ、また会おうぞ」
「またな」
二人はまずは別れた。そうして兵を集めそのうえで曹操が激を飛ばした。すぐに董卓のあまりもの専横に反発する諸侯が二人の下に集った。その中には袁術もいた。曹操はその中で諸侯に対して言うのだった。
「まずは皆様方」
「うむ」
「何でござろう曹操殿」
どれも名の知れた男達だ。名声も力もそれぞれかなりのものだ。袁紹と曹操はその彼等を前にして立っている。そのうえでの曹操の言葉であった。
「まずは集まって頂きかたじけのうございます」
「いや、これは当然のこと」
「全ては帝の為」
「民の為」
「国に害を為す董卓を討たんが為」
諸侯達は口々に言う。それぞれの思惑があるがここではそれを仮面の下に隠してこう言う。これについては袁紹も曹操も最初からわかっていたのであえて何も言わなかった。そのうえで曹操の話が続く。
「まずは我等の盟主を決めたいのです」
「盟主をか」
「左様。ことを為すにあたっては頭が必要」
もっともらしくこう切り出す。
「都からあの董卓を討ち漢に平穏を取り戻すにあたってもそれは同じ。だからこそです」
「ふむ、確かに」
「その通りだ」
諸侯達は曹操のその言葉をまずはもっともとした。
「曹操殿の仰る通りだ」
「頭がなくてはどうにもならんな」
「それでです」
曹操はここでさらに話を続ける。袁紹はその横で聞いているだけだ。だが萎縮したりなぞせず堂々とした様子で話を聞いている。それに対して袁術はどうにもそわそわとした様子だ。無論二人のこの様子も諸侯達の目に入っている。そのうえで考えられている。
「それはどなたが宜しいでしょうか」
「誰か、か」
「そうです。それが問題です」
曹操は言うのだった。
「皆様はどなたが宜しいと思われますか」
「そうだな」
「そう言われると」
自分達ではどうかと思い名乗り出る者はいなかった。流石にこの場でその図太さを発揮できるような豪傑はいなかったのである。
それで彼等は迷っていた。その間袁紹は一言も発さずやはり堂々と立っているだけだ。隣には先程盟主の話を出した曹操が控えている。そして袁術はやはり。やけにそわそわとして落ち着きがない。時折妬ましい目で従兄を見ている。そんな彼等を見て諸侯の一人が遂に口を開いた。
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