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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第三五話 求道者の迷走
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「あ、あの何故に小官が……」
今日は使用されない基地の一室、そこには何故か尋問されるような配置の机に座らされた紅の軍服を纏った少年が居た。
誰であろう、真壁清十郎である。
「斑鳩大尉の事について聞きたいことがあったので真壁中尉をご招待しただけのことですよ。」
「違う!あれは招待じゃなくて拉致だ!!」
いけしゃあしゃあと口にした雨宮の言葉に唯依が思わず叫ぶ。清十郎も全力で首を縦に振り肯定する。
「やれやれ二人とも細かいことを気にしすぎです。結果おーらいじゃないですか」
未だ何の結果も出てねー!!
と叫びたいのを無意味だと悟った唯依と清十郎はその言葉を飲み込んだ。この手のやつはさっさと終わらせるに限る。
今、唯依と清十郎は奇妙な連帯感を感じるのであった。
「さて前置きはさておき。ズバリ単刀直入に聞きます、斑鳩大尉……いえ、この場合は柾忠亮には昔の恋人とかそういうのは居たのか、そういう事です。」
「あまり個人情報の漏えいは……」
「あら、真壁中尉は恋に悩めるいじらしい娘さんが心を痛めているというのに見て見ぬふりと、そしてその結果己が主君に災厄が降りかかろうと問題がないと、大した中道です。日本男児の風上にも置けませんが。」
「……んな無茶苦茶な」
雨宮の言い分に項垂れる清十郎。パッと見、お淑やか美人な癖に結構毒を吐く。
……仕方がないと開き直ることにした清十郎。この機転の切り替えはある意味、あのツェルベルスと触れ合った成果かと思うとやけに虚しくなる。
「……分かりました。丁度小官も中尉に言っておきたい事がありましたから。」
「私に?」
清十郎の予想を外す答えに困惑する唯依。なまじ古くから忠亮を知る清十郎の言葉だけに無視はできなかった。
「ええ、斑鳩卿……柾さんの事でです。あの人には気を付けた方がいい。貴女もいつ、切り捨てられるか分からない。」
「それは…どういう意味なんだ?」
清十郎の今一つ要領を得ない言葉の意味を問う、そして清十郎の口から出てきたのは驚愕の事実であった。
「柾さんは……自分の嘗ての許嫁の父であった師をその手に掛けたのですよ。」
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