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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第三五話 求道者の迷走
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変わらない様子が少し可笑しくて、笑いと同時に穏やかな気持ちが溢れてくる。
「ああ、待っていた。」
「お待たせしてすみません。でも、身を清めないと……」
「気にするな。それにな、待つのも其れはそれで楽しい物だ。」
「そう、何ですか?」
きょとんと小首を傾げる唯依、しっとりと濡れた黒髪はいつもとは違いあまり揺れない。
「ああ、待っているときになんで自分はこんなに待ち遠しく思っているのだろう、と考えると中々に楽しいぞ。」
「なるほど、待つ時間は自身の心と向き合う大切な時間ともなり得るという事ですか。私も斯様に心を御せるように精進しま―――むもがっ!?」
眉間に力を入れ、意気を強くする唯依だが、唐突に眼前へと移動した忠亮に鼻をつままれ、その決意は不格好な鳴き声へと変わってしまう。
「な、何をするんですか!」
「こんな場でそんな色のない事を言うな。今は、今だけは篁の唯依ではなく己だけの唯依だろ?」
手を振り払い、鼻を抑えての唯依から非難の抗議。それを意にも介さずに囁く。
それによって自分の格好を思い出した唯依が羞恥に赤く染まる。
「す、すみません。まだ、どうしてもつい……」
「構わん、じっくりと長い目で見てゆくさ。ただ、己の前でまで借りてきた猫のような態度は止めるんだな。他人行儀が過ぎる。それでは少し、こちらが寂しいじゃないか。」
「ふふっ……そうですね。」
穏やかに、はにかむ唯依。それを見て思う、やはり守りたいものがあるというのは心地が良い。
地に足がついたような安心感があった。何を目指して歩みを進めるべきか、朧げだが征くべき先が見える。
闇夜で旅人の行く先を照らす月明り。己にとって唯依はその月そのものであった。
翌日、調布基地
「うちも随分と色が増えましたねー。」
調布基地の格納庫全体を見渡せる一角似て唯依の副官である雨宮が口にする。その視線の先には不知火壱型甲だけではなく、唯依の武御雷や白き牙中隊の機体。
それに加えて、忠亮の独立警護小隊用の赤1、白2機の合計3機の瑞鶴が戦術機ガントリーに固定されていた。
その光景はなかなかに壮観だった。
「はぁー……」
「どうしたのですか篁中尉。」
雨宮の話を聞いていたのか聞いてなかったのか、心ここに在らずといった様子でため息をつく唯依。
「あ、いや、済まない些末事だ。気にしないでくれ。」
「もしかして旦那さんと何かあったんですか?」
ズバリと核心を突く雨宮。
「だ、旦那だなんて……わ、私と大尉はい、いずれそういう関係になる可能性が高いとはいえ未だそんな……!!」
それに対し、唯依は頬を薄ら朱に染めて下向きながら両人差し指をも
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