2部分:第二章
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そうだろうな。太平の世だが」
この時代はまだそうだった。二人の若い時代は。
「官に就くとするか」
「袁術は怖いか?」
「いや、全く」
袁紹の言葉は何でもないといった様子だった。
「そんなものはな。全く怖くはない」
「ではそれで問題はない。御前はすぐに袁術を越えられる」
「公路をか」
「問題ない。わしもあの男なぞ軽くあしらってみせる」
袁家のプリンスとも言うべき存在で将来は三公かとも言われている男も歯牙にかけない。やはり曹操にもそれなり以上の自信があるということだった。
「それだけだ。わしも大きくなってみるか」
「わしもな」
袁紹はそれに応えて言った。
「大きくなってみるか。妾腹なりにな」
「宦官の孫なりにな」
二人は酒場でこう言い合いそれから程なくして用意された官職に就いた。二人は忽ちのうちに頭角を表わし袁術なぞ問題にならない位にまでなった。その後起こった黄巾の乱も宦官の専横も収め二人の時代がはじまるかと思われた。二人の勢いはそこにまで至っていた。しかしであった。
袁紹は洛陽に入り専横を欲しい侭にする董卓と対立した。宮中で互いに剣を抜き合いいがみ合うまでになった。百官は皆戸惑うが曹操はその中で一人袁紹の背にいた。そして彼に問うのであった。
「いいのだな、あの男は手強いぞ」
「構わん」
しかし袁紹は臆することなく曹操に答えた。その目は毅然として董卓を見据えている。
「この男、許すわけにはいかん」
「許せぬか」
「その欲が許せぬ」
彼が許せぬのは董卓の欲だというのだ。
「その為に全てを奪おうとする。わしはこの様な男と共にはいられぬ」
「倒したいか」
「だからこそ今剣を抜いているのだ」
袁紹も堂々たるものだ。しかし董卓のその身体はそれ以上だ。肥満こそしているもののその腕は太くまた恐ろしいまでに大きな身体をしている。まさに巨人だ。袁術を見れば部屋の端で震えている。袁紹、曹操とはとても並べられないのは誰の目から見ても明らかだった。
「ここでな」
「わかった」
曹操はまずは袁紹のその考えを受けた。
「ではここは剣を収めろ」
「何っ!?」
今の曹操の言葉に顔を顰めさせる。そのうえで横目で彼を見た。見ればいつも通り至極冷静な顔をしている。その顔での言葉だった。
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