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朋友
1部分:第一章
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され忌み嫌われていた。実際にそうした者が目立ち国を憂える官吏や士からは憎悪されていた。その家の者である彼も出世できない確かな理由があったのだ。 
 曹操はその出自の為孤立する立場にあった。だが袁紹はその彼とも分け隔てなく接し友人としていた。元々そうしたことにはこだわらない男だったがそれ以上に己と似た立場にいる彼に親近感を覚えていたのだ。それでよく共に遊び共に飲んだ。悪事さえ共に働くこともあった。
 ある日のことだった。都のある飲み屋で二人で酒を飲んでいる時だった。曹操は不意に袁紹に声をかけてきた。
「なあ本初」
「何だ孟徳」
 お互いを字で呼び合って話に入った。既に酒はかなり進んでいる。二人は杯をそれぞれの手に持ち向かい合いながら話をしている。
「御前はわしを嫌ってはいないな」
「当たり前だ」
 袁紹は当然といった様子で彼に答えた。
「何故嫌う必要がある。御前は性格もいいし頭も切れる」 
 だから評価しているというのだ。
「側にいてくれて頼りになる。そんな御前をどうして嫌うのだ」
「わしは嫌われているからな」
 曹操は口の端を歪めて自嘲を込めて言った。
「だからだ。特に御前の従弟の」
「公路のことは気にするな」
 こう曹操に告げた。一杯飲みながら。
「あいつは名門意識が過ぎる。どうせ宦官の孫というだけで御前を嫌っているのだろう」
「その通りだ」
 曹操は素直に答えた。
「面と向かって言われたこともある。わしは卑しい宦官の孫だとな」
「馬鹿馬鹿しい」
 袁紹はそのことをそれだけで済ませた。
「だから何だというのだ」
「御前は違うのだな」
「それを言えばわしは妾腹よ」
 自らのことを言う。
「あ奴はわしをこう呼んでおるわ。一族の恥とな」
「一族のか」
「叔父貴も他の一族の者もだ。幼子までわしのことをそう呼ぶ」
 それだけ彼は一族の間では疎まれていたのである。それに対して袁術は、というわけである。彼を庇う者は一族にはいなかったのだ。
「誰もがな。わしは一族の鼻摘み者よ」
「名門袁家の出であってもな」
「名門!?わしにはあまり関係のない話だな」
 曹操に返した言葉はこれだった。
「全くないとは言えないがな。それでも」
「皆公路を見ているのか」
「あいつの母は立派だった」
 本人ではなく母のことを言うのだった。
「おかげであいつは一族の華よ。確かにそれなりの力はあるがな」
「力は御主の方が遥かにあるだろう」
「それを言えば御主もだ」
 袁紹は今の曹操の言葉をそのまま本人に返した。
「武芸だけでなく学問も詩も何でもできるではないか」
「些細なことだ」
「孫子のあれは続けているのか」
「うむ」
 曹操は趣味のようなものとして当時から有名だった兵学書孫子の注釈を行っていた。これは今
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