16.次代の剣士たち
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け毛だらけになった二人の哀れな姿が。
周辺の同情的な視線が降り注ぐ中、なんとか二人は力なく立ち上がって体中の抜け毛と埃を払う。
「な、なんだったんだ今のは……猫ってあんなに群れて行動する生き物だったっけ……?」
「知らねえよっ!大方何かイタズラでもやって逃げてきたんだろうよ!ひどい目にあったぜ!!」
若干キレ気味のジャンが荒々しく前髪をかきあげる。
そのジャンの様子を見て、ユウはある事に気付いた。
「あれ、ジャン。学生バッジはどこにやったの?」
「あん?バッジならちゃんとここに………………………な、い?」
ぱんぱんと胸元を叩いて確認したジャンの顔が次第に青ざめていく。
そして、それを問うたユウ自身も自分の異変に気付いて悲鳴を上げた。
「って、ああ!?俺のバッジも無くなってる!?ま、まずいぞ……!あのバッジはイスタンタールの身分証明書代わりなのに!!」
イスタンタールでは基本的に学生や関係者は専用の三角帽子をつける事が義務付けられていたが、近年「ダサすぎる!」という苦情が出ていたために最近はバッジと帽子の選択制になっている。つまり、ユウとジャンの無くしたバッジは自身の身分を表す重要な物なのだ。
しかも、バッジには生徒の学問履修や貢献度を表した星のマークが刻まれている。それを無くしたとあらば再発行の時点でペナルティが課せられてしまい、最悪の場合は星の数を減らされてしまう。星の数はイスタンタールでの評価そのものなため、こんな所でやすやすと失っていいものではない。
「よ、要するにアレか?落としちゃった……って奴か?」
「そんな馬鹿な!さっきまでちゃんとつけてたじゃないか!それが突然無くなるなんて………あっ」
「な、何だよ」
「ひょっとして……さっきの猫?」
そういえば、無くす前にあからさまに大変な出来事が……猫の襲撃という事件がなかったか?
ダバダバと嫌な汗を流す二人は、ギギギ、と音を立ててゆっくりと首を回した。
その目線の先には――先ほど自分たちに襲いかかった猫集団の背中。
その集団の中に、見覚えのある金色のバッジを咥えた猫が2匹。
「あ、あいつらだ!!あの猫どもが俺達のバッジを……追いかけるぞユウ!!アレを無くしたらマジでシャレにならんっ!!」
「分かってる!!……っていうか、光ものを狙うのって普通はカラスとかじゃないのー!?」
「知るか馬鹿!カラスだろうが猫だろうがそんな畜生の所為で俺達の評価を下げられてたまるかぁぁーーーッ!!!」
こんな所でにゃんこに星を奪われてたまるか!と、2人は全速力で猫集団を追いかけた。
その二人の気迫たるや猫を追いかけているだけとは思えないほど凄まじく、周囲の言によると「ユウは疾風の荒鷹、そしてジャンは烈火の牙狼の
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