16.次代の剣士たち
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人畜無害な本の虫。次第にジャンとユウは様々な出来事を通して交友を深め、今では親友と呼べる間柄にまでなっていた。
「……ところでユウ。お前、アレはちゃんと分かってるんだろうな?」
「アレ?」
「アレだよアレ!名前の事だよ!」
先ほども言ったが、ゼネオルシア家は「正教圏」の名家として名高いし、バレストラも剣の道では知られた名だ。特にゼネオルシアは大きさゆえにあちこちで恨みを買っている部分もある。故に二人はこの町に来る前に、事前に家名を隠すことを決めていた。
この町ではジャンはバレストラではなくアンガルドを名乗り、ユウはゼネオルシアではなくジェグナンを名乗る。家名を隠すことで余計なトラブルを避けようと言う知恵である。ちなみに言い出しっぺはジャンではなくユウの方だったりする。
「ああ、その事?大丈夫、いくらオラリオが中立とは言っても僕らの名前は目立ちすぎるもんね!うっかり本名を喋るようなヘマはしないよ!」
「バカ!大声で喋んな!いくら祭りで騒がしいからって誰かに聞かれたらどうする!」
「うっ……ご、ごめん。でも偽名なんてコードネームみたいで何だか格好いいね。昔書斎で呼んだ『恐怖!監獄要塞スパイ大作戦』を思い出しちゃうよ!わくわくするな〜……!」
「なんだその妙ちきりんな本は……ったくのんきな野郎だぜ」
きらきらと瞳を輝かせるユウは、元来の童顔も相まってどこまでも子供っぽい。
うっかり歓楽街にでも迷い込んだ日には大切なものをたくさん失って帰ってきそうである。
この世間知らずのお坊ちゃんを放置するのは不安しかないな、と嘆息するジャンだった。
そして、その嘆息の瞬間が二人の運命を大きく揺るがす事態に繋がる決定的な隙となった。
「みゃあああっ!!」
「なーご!!」
「フギャーーーッ!!」
それは、町の物陰から突然群れで現れた。
サバ、ブチ、ミケを問わぬ多種多様な模様と色合い。ピンクの肉球。ピンとしたヒゲにしなやかな尻尾。そう、それは猫だった。しかも一匹や二匹ではない。実に数十匹にも及ぶ猫たちが鉄砲水の如くいきなり通りすがりのユウたちに飛びかかったのだ。
「うおッ!?な、何だおい!?」
「うわわわわわぁっ!?に、にゃんこ軍団だぁぁぁ!!」
混乱する二人は慌てて避けようとしたが、猫の素早さの方が上だった。かといっていたいけな猫たちを強引に振り切る訳にもいかず、為す術無し。二人はあっさりと猫の濁流に飲み込まれた
「ぎゃああああああッ!!」
「ぬわああああああッ!?」
あらゆる猫たちが足元を通り抜けたり頭を踏んだり袖を引っ掻いたりしながら通り過ぎていき、そのダメージに二人は情けない悲鳴を上げて押し倒されていった。
そして、猫たちが通り過ぎた後には、肉球ハンコと抜
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