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戦国異伝
第二百十七話 九州騒乱その三

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 そうしたものを見てだ、彼等も言うのだ。
「他の公卿の方々とも交わらず」
「謎の多い方よ」
「公卿の中でも古い家の方であるが」
「それでもな」
「陰陽道の家というが」
「果たして何をされている方か」
 それもだった。
「少しのう」
「あの方はな」
「どういった方か」
「わからぬ」
「折角の織田様の申し出でも」
 それでもだというのだ。
「行かれたことはない」
「ううむ、どうもな」
「怪しい方じゃな」
「そうじゃな」
「全く以て」
 こうしたことを話していた、それは所司代を務める信行の耳にも入っていた、それで彼も所司代に詰めている武士達に言うのだった。
「高田様のことじゃな」
「何かわかりませぬ」
「どういった方なのか」
「だからです」
「あの方については」
「見ておく必要があるかと」
「そうじゃな。上様の折角のお誘いもな」
 信行もこのことについて言うのだった。
「常に断るしのう」
「ですな、朝廷に顔を出されても」
「それでもです」
「何もお話されませぬし」
「誰とも交わることはありませぬ」
「しかもそれが代々とのことです」
「高田家の方は」
 彼の家の者はというのだ。
「朝廷の誰とも交わらず」
「己の責務にだけ励まれ」
「その他のことはです」
「何もされず」
「普段のご生活も」
「誰も知りませぬ」
「ふむ。家の者達もじゃな」
 高田家に仕える者達もというのだ。
「あの者達にしても」
「はい、やはり代々高田家に仕え」
「陰陽道をしておるそうですが」
「他には何もです」
「何もわかりませぬ」
「そうじゃな」
 また言う信行だった。
「得体が知れぬ。そうした方こそな」
「よくですな」
「見ていくべきですな」
「頼む、わしは一時じゃ」
 ここでだ、信行は武士達にこうも言った。
「大坂城に入る」
「九州攻めの時は」
「その際は」
「そこで戦を支える」
 奉行として軍の兵糧や武具の監督をするのだ、それで信行は大坂城に入り戦を支えるのである。
 だからだ、一時はというのだ。
「この都のことを頼むぞ」
「はい、では」
「その間はお任せ下さい」
「我等が」
 武士達も口々に言う。
「勘十郎様が留守にされている間は」
「都は我等がおります」
「ですから勘十郎様はお勤めに励まれて下さい」
「その時は」
「そうしてもらうと有り難い、しかし」
 ここでだ、信行はこんなことを言った。
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