第二百十七話 九州騒乱その一
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第二百十七話 九州騒乱
信長は西から東にと天下を巡った一連の戦から六年の間これといって兵を起こさなかった、その数年の間はというと。
彼は政に専念していた、そしてだった。
田を開墾しそれを良田にし堤や橋を築いた。町も整え見事な城下町も作っていった。道も見事なものにし宿場町も設けていった。
それに天下を治める仕組みもさらに整えた、その結果だった。
都の近衛の家でだ、山科が近衛にこう話していた。
「いや、最早」
「天下はでおじゃるな」
「織田殿のものでおじゃるな」
「全くでおじゃる」
近衛も山科のその言葉に頷く。
「それが確かでおじゃる」
「既に天下の大半は定まり」
「後は九州、それと奥羽の残り」
「それだけでおじゃるな」
「既に統一の後の仕組みは整っておるでおじゃる」
それもだというのだ。
「後は天下を統一し」
「そして、でおじゃるな」
「右大臣殿が幕府を開けば」
まさにそれでというのだ。
「天下は完全に定まるでおじゃる」
「そうでおじゃるな」
「さて」
ここでだ、近衛は山科にこうも言った。
「そろそろでおじゃるぞ」
「その九州のことは」
「左様、どうやら安土で」
「その動きがあったでおじゃるか」
「その様でおじゃる」
こう山科に話すのだった。
「織田家の主な家臣の方々が集まり」
「右大臣殿とでおじゃるか」
「議をしたとか」
「ふむ。それでは」
「戦が近いでおじゃるな」
「既に道も整っているでおじゃる」
九州に行くまでの道がだ、信長は天下の道を整えておりそれは西国とて例外ではなかったのである。それでなのだ。
「後はでおじゃる」
「兵に兵糧を集め」
「右大臣殿が仰れば」
その出陣をだ。
「その時はでおじゃる」
「戦でおじゃるな」
「そうでおじゃる」
「そうか、いよいよ天下泰平でおじゃるか」
「問題はでおじゃる」
ここでだ、近衛は。
顔を確かなものにさせてだ、こうも言ったのだった。
「しかしでおじゃる」
「何かあるでおじゃるか」
「その九州のことでおじゃる」
近衛がここで語ったのは信長が攻めるその地のことだった。
「凄いことになっておるとか」
「島津家でおじゃるか」
「その強さたるや凄まじく」
「九州をでおじゃるか」
「今にも手中にせんとか」
そこまでの勢いだというのだ。
「まさに破竹の勢いでおじゃる」
「九州を攻め上がっているでおじゃるか」
「既に西の龍造寺は」
この家はというと。
「主である隆信殿が討たれ」
「当主がでおじゃるか」
「最早家老であった鍋島殿だけが頼り」
「苦しい状況でおじゃるな」
「そして大友も」
もう一つの雄であるこの家もというのだ。
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