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ドリトル先生と森の狼達
第四幕その六

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 先生達は森の奥、これまでよりもさらに奥に入ってなのでした。
 そのうえで、です。中を調べていきますが。
 先生は今度は狸とお話をしました、狸が言うにはです。
「この辺りも最近は過ごしやすいよ」
「食べものも豊富でだね」
「うん、動物も多過ぎないしね」
「植物もだね」
「奇麗だよ」
「鹿君達が食べ過ぎたりしていないね」
「そうしたことないよ」
 このことは大丈夫だというのです。
「よくなったよ、前と比べて」
「そうなんだね、あと村の人達はどうかな」
「ああ、麓の」
「そこの人達はここまで来るかな」
「滅多に来ないよ」
 狸は先生の前で四本の足で立ちながら丁寧に答えます。時々その大きな尻尾が左右に動いたりしています。
「人間自体がね」
「山に住んでいる人は」
「山に?」
「この辺りに住んでいる人はいるかな」
「ああ、何かいたらしいね」
 狸は先生の今の質問にはです、こう答えました。
「昔ね」
「昔なんだね」
「僕が生まれるずっと前にね」
 それこそというのです。
「この辺りに人が住んでいたらしいね」
「その人達はまだいるから」
「僕は見たことがないよ」
 これが狸の返事でした。
「そうした人達はね」
「そうなんだね」
「ええと、その人達って何かな」
「村に住んでいる人ではないよ」
「世を捨てた人?それとも山賊?」
「世を捨てた人もね。ここまではね」
 もう結構奥まで入っています、そこまではというのです。
「入ることもないよ」
「そうなんだね」
「ましてやね」
 さらにというのです。
「山賊はね」
「もういない?」
「もう日本にはいないね」
 流石にというのです。
「そうした人達はね」
「そうなんだね、流石に」
「僕が気にしているのは山窩という人でね」
「山窩?」
「昔から山に住んでいる人達だよ」
「ふうん、そんな人もいるんだ」
 狸は先生のお話を聞いてもこう言うばかりでした。
「僕はじめて知ったよ」
「ああ、君の言葉を聞いてわかったよ」
 先生も確かにです。
「少なくともこの辺りに山窩の人はいないね」
「まあここは結構深い場所だからね」
 狸は森の中を見回しました。
「人が入るにしてもね」
「無理があるね」
「普通の人はね」 
 それこそというのです、狸も。
「まあ先生のことは聞いているけれどね」
「それでもだね」
「うん、人はあまり来ないから」
 このことは事実だというのです。
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