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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
52.圧倒なる狂気
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いた。
「おいおい、まじかよ。こいつは傑作だ」
狂気に満ちた笑みと瞳でこちらを睨みつける。
「まさかただの人間ごときに俺の眷獣が負けるとはなァ」
すると金髪の吸血鬼が口元から鋭く伸びた牙を剥き出しにして指の骨を鳴らした。
それと同時だった。とてつもない悪寒が全身へと走る。
先ほどまで何もいなかった金髪の背後から徐々に姿を現すそれは形容し難いものだった。眷獣にしては少しばかり小さく。人というには大きすぎる。女性のような姿をしているがその長い髪はよく見ると全てに紅い二つの宝石が埋め込まれている。いや、あれは宝石ではない。眼だ。あの髪の一本一本が蛇になっているのだ。
言葉にできない。しかしあえて言葉にするのならこれしかない。
───絶望。
今までに感じたことがない感覚。これまででいろんな眷獣と見えてきた。そのどれもが圧倒的な力で友妃がどんなことをしても倒せないとわかっている。しかし抵抗はできるとは思った。逃げることならできると思った。
だが、こいつは違う。抵抗することも、逃げることもあの眷獣の前では無意味なことだとわかってしまう。
「……逃げろ」
動けずにいる友妃の前に少年が立つ。
どこに逃げろっていうの?
逃げ場なんてない。それを彼もわかっているはずだ。
なのに……どうして……
少年の体も小刻みに震えている。それを誤魔化すかのように軽くジャンプをしてみせる。
「君も……逃げよう、よ」
必死でつなげた言葉はそれだけだった。
しかし少年はこちらに笑みを浮かべて、
「俺は大丈夫だからさ」
それが作り笑いなのも一瞬でわかった。そんな不器用な笑みを浮かべてるんだからさ。
少年は再び、金髪の少年を睨みつける。
「その威勢だけは認めてやるよ。けどこいつらと同じようになるだけだけどなァ」
金髪の少年が絶望が出現した足元へと視線を向ける。
「「───ッ!?」」
三人の男女が地面に横たわっている。大柄の男性、白衣を着た女性、ツンツン頭の青年。
すぐに理解できた。この人たちが“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣を持つものたちなのだと。
「まだ息はあるとは思うが時期に毒が回って死ぬだろうなァ」
「テメェ……」
少年が殺意に満ちた目で睨みつける。
すると突如として金髪の吸血鬼が後方へと勢いよく飛び退く。水によって形成された巨大な槍はわずかに吸血鬼をかすめていった。
「チッ……まだ、それだけの力が残ってやがったか」
「諦めの悪さだけは、一丁前なんでな」
先ほどまで倒れていたツンツン頭の青年が苦痛に顔を歪めながら立ち上がっていた。しかしその足はフラフラでいつ倒れてもおかしくない。
「……なら、
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