暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
52.圧倒なる狂気
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、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”!!」

 黄金の翼を大きく広げて飛翔した“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”が暴走する羊めがけて突っ込む。

「……ゴメンね」

 小さく呟いた。黄金の翼が“純愛なる白兎(アフロディテ・ダット)”の体を真っ二つに引き裂いた。
 それとほぼ同時に“純愛なる白兎(アフロディテ・ダット)”は元の魔力の姿へと還っていく。

「美鈴さん!」

「はいはい、わかってるわよ」

 もう南を守護するものは、暴走によってとめどなく流れ出る魔力だけだ。しかしそれさえも眷獣の消滅によって歪みが生じる。
 その歪みめがけて美鈴は小さなメスのような刃物を投げる。それは美鈴が作り出した最終兵器、“無式吸型刃(アブソー・メサ)”だ。銀の軌跡を描きながら“無式吸型刃(アブソー・メサ)”は南の腕へと突き刺さる。

「ぐぁぁぁぁ!」

 苦痛に満ちた表情と叫び。すると彼の体は全ての力でも使い果たしたとでもいうように地面に倒れる。それと同時に大気にとめどなく流出していた魔力も消滅する。

「どうやら成功したみたいね」

 額に汗を滲ませながら美鈴が呟いた。
 これが“神意の暁(オリスブラッド)”を殺すことなく眷獣を奪い取ることができるということなのだ。
 話を聞いたときは半信半疑であったがまじかで見たら信じるしかない。
 美鈴が南の腕から“無式吸型刃(アブソー・メサ)”を引き抜いた。

「とりあえず急いで南さんを病院へ運んで、アレイストさんたちの援護に向かうよ、柚木ちゃん」

「そうですね、急ぎましょう」

 あの時、柚木が感じた嫌な感覚。“神意の暁(オリスブラッド)”が二人がかりでも倒せないと思ってしまった。なぜあんな想像をしてしまったのか自分でもわからない。
 それでも彼が危険だということは、明白なことだ。

「「───ッ!?」」

 二人は同時に振り返った。
 今いる病院から約一キロ先。肌を刺すような嫌な感覚。先ほどから魔力の気配は感じてはいた。しかしこれほどの異質な魔力は感じたことがない。
 それが二つ。激しくぶつかり合っているのか大気の震えがこちらにまで伝わってくる。
 間違いない。あそこに金髪の少年がいる。そして誰かと戦っている。

「なんで……」

「柚木ちゃん?」

 そんなわけがない。
 そんなことがあるわけがない。
 でも、この感じ……。
 ───どうしてなの?
 なんであんたがここで戦ってるの?

 柚木はいつの間にか走り出していた。
 異質な魔力同士がぶつかり合う先へと。

「柚木ちゃん! どうしたの!?」

 美鈴の声はもう届いていなかった。
 柚木の頭の中はもうグチャグチャだった。
 自分が吸
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