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ある提督の回顧録
3日目
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か。

 ブザーが鳴る。時間だ。

「総員、出撃!」

 号令をかける。
私の不安を悟られぬよう、強めに。







 
「敵発見!さぁ!色々試してみても、いいかしら?」

 鎮守府海域をおよそ60海里ほど進んだ近海にて敵と思わしき影を夕張が発見した。 
前方正面、一昨日と同じくイ級だ。
 敵がここまで近くに来ているとは。
今日の索敵が無ければ攻められていた可能性が高い。
 
「どーぉ?この攻撃はっ!」

 各艦娘達、それぞれが砲弾の散布界を展開させる。
もはやこのイ級に逃げ場は無かった。

「GAAAAAぁぁぁぁ……!!!」

 前回と違い、こちらの数が多いため相手は何も出来ずただ撃沈された。
今の戦力ならばもう少し先まで行っていいだろう。

「夕張、今のはおそらく偵察艦だ。本隊、もしくはそれに近しい戦力を持った集団がどこかにいるはずだ。発見次第、それを叩け」

「了解!先へ進みます」




 北側に進路をとったそのおよそ40分後。
遠方に再び影が見えた

「左舷敵影発見……数は2!」

 2隻しかいない、はずれか。

「数的に本隊ではないようだが、ここでみすみす見逃すわけにも行かんな」

 近づくにつれて敵影がはっきりして来る。
1つは先ほどと同じイ級だ。だがもう1つは見覚えが無い。
データベースを検索してみる。

「イ級と……駆逐ロ級か。ロ級は初めてだったな。気を抜くなよ?」

 交戦許可を出す。
真っ先に駆け出したのは島風であった。

「私には誰も追いつけないよ!」

 なるほど、早い。
砲撃はうねうねと動く例の「連装砲ちゃん」3体が周りを取り囲みながら撃っている。

 いや、なんだアレ。
見た目はもはやサーカスのそれであった。
 
「島風、あまり突出するな。そこから回り込んで隊列に戻れ」

「はーい提督、了解です!」

 見た目はアレだが、きちんと指示には従ってくれる。
ちょっと感動してしまった。

 交戦中のロ級、イ級はどうもすこし錬度が高いようだ。
散布界を集中させぬようにジグザグに動き、かつ反撃もしてくる。

「GUUUUU!!!!!」

 イ級の砲撃。
狙い済ましたようなそれはしかし僅かに逸れた。

「きゃあっ!」

 被害を受けたのは叢雲だ。
幸い、直撃ではない。

「叢雲、大丈夫か?」

「少し服が汚れただけよ、問題ないわ!」

 そう言ってカメラを見て笑う叢雲。
その笑みは武人のそれであった。

「そうか。……全員よく聞け、今回の敵は錬度が高いようだ。個別攻撃ではなく数を生かした波状攻撃であれば有効だろう。ターゲットをイ級に固定、その後にロ級を」
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