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ある提督の回顧録
3日目
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んので」

 今の、というのは彼女がまだ出撃が出来ないことに由来するものだろう。
今回着任した3名のうち、装備を身につけていたのは間宮だけであった。
 間宮は主計担当なので出撃はしないが。


「これだけできれば十分だよ。……やはり、装備はまだ完成していないのか?」

 事前通達によって聞かされてはいたが、艦娘であるにもかかわらず装備がない。
正直に言って不思議ではあった。

「はい……申し訳ありません。本来であれば私が前線に出てお役に立てるはずでしたが……」

「気に病まなくていい。……本当は艦娘(きみたち)に戦争などさせたくはない」

「……私たちは「そうあるべく」して育てられました。お気持ちはうれしいですが……」

 そう言って大淀は私に微笑みかけた。
つまり、「そうあるべく」とは艦娘としての知識……「(ふね)の記憶」を先に植え付けられた。
そういうことだろう。
 彼女は本当に自分の意思で戦うことを望んでいるのだろうか。

「装備がないのを恥じる必要なんてないんだぞ?」

「一般的に言うなれば装備があっての艦娘、ですので……」

 それも劣等感のようになっているのか。
そういう風に育てられた彼女達に「戦うな」と、言うことが今はできない。
 そんな歯がゆさが私の口を(つぐ)ませた。
今何を言っても彼女には伝わらない。
 
「大淀、朝食の前に朝礼を行う。……放送で各員に通達を」

「了解しました」

 本来は夕張の役目であったが、当の本人が帰ってくる気配がないので大淀に任せることにした。
大淀は敬礼のあとすぐに部屋を出て行った。
 やはり優秀だ。たとえそういう風に育てられていたとしても。

 







 朝礼のために続々と艦娘達が執務室に入ってくる。
大淀は滞りなく放送を行っていた。
 夕張も来たな。あれ?明石も一緒か。
……なるほど、大体の想像は出来た。

「全員揃った様だな。では、ただいまより朝礼を始める!」

「気を付け!礼!」

 大淀が号令をかけた。
おい夕張、お前の仕事とられてんぞー。

「本日、新たに3人この鎮守府で着任があった。彼女らはそれぞれの分野においてエキスパートであるので工廠、通信および作戦会議、主計でお世話になるだろう。皆、あとで挨拶をしておくように」

 一部、もう挨拶どころか友人になっていそうなのがいるが。

「それと、本日ヒトマルマルマルより鎮守府近海の索敵を執り行う。旗艦は夕張、その他随伴艦として叢雲、白雪、綾波、島風。周囲の警戒を密にすること。
 今後の目標はこの近海における敵の完全なる掃討だ。各員の健闘に期待する。以上」

 簡単に指示を出して朝礼を終える。
腹も減ってるだろ
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