第151話 王允劉表弾劾
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できた。その様子を百官は凝視していた。
「そなたは荀侍中。その妙な布袋と後の者達は何なのだ?」
劉弁は荀爽が手に持つ布袋と桶を運ぶ官吏のことを訝しむ。百官も「何だ?」と興味深げに視線を送っていた。百官の中でも高官の地位にある者達は何かを知っているか緊張した面持ちで布袋を見つめていた。賈?は高官達の様子に気づくと眉を潜めていた。
「これは劉車騎将軍の命を狙った毒矢にございます。私の部下に運ばせたのは生きた鯉にございます。皇帝陛下にこの矢が紛れも無い毒矢であることを知っていただくためにご用意いたしました」
荀爽は両膝を付き大勢を低くすると布袋から矢を取り出し劉弁に見えるように両手で支えた。王允と荀爽と一部の高官を覗き驚愕の表情に変わった。高官に至っては厳しい表情で袋を見ていた。
「毒矢だと!?」
劉弁は荀爽の説明に狼狽えていた。荀爽は劉弁の動揺を気にすることなく、部下に命じて自分の前に鯉の泳ぐ桶を配置させた。そして王允の屋敷で行ったように鯉を毒矢で傷つけた。
荀爽が毒矢を自らの背後に置き劉弁に対して平伏すると、劉弁は恐る恐る壇上を降り桶の中を覗きこんだ。劉弁は死にかけた鯉が毒に殺られ死んでいく様を見ると立ち眩みをしたのか背後に数歩下がった。その様子を見た高官達は神妙な表情に変わっていた。
「この毒矢と周太守とどう関係があるというのだ?」
劉弁は動揺した表情で荀爽に質問した。彼の顔色は悪かった。
「実は荊州にて劉車騎将軍が賊に襲撃され殺されそうになりました。この毒矢は賊の放ったものでございます」
「劉車騎将軍は無事なのか?」
劉弁は少し冷静になったのか事態を確認しようと王允にたずねた。
「劉車騎将軍は無事にございます。驚くべきことに劉車騎将軍は賊に二度も命を狙われております」
劉弁は王允の話に絶句していた。賈?は「嵌められた」と険しい表情を浮かべていた。
「賊は何者なのだ?」
劉弁は王允に厳しく質問した。
「それが」
王允は口澱んだ様子になる。しかし、わざわざ朝議の場で話してる段階で王允が話すつもりがあることは分かりきっていた。
「賊は分からぬのか?」
「賊が何者であるか判明しております」
「ならば何故話せないのだ?」
「賊の名は『蔡徳珪』。劉荊州牧の義理の妹です」
王允は暫く沈黙した後、重い口を開いた。劉弁は想像だにしない答えを聞かされたという様子で絶句し、力なく玉座に戻ると座り込んだ。
「王司徒、それはまことなのか?」
「残念ながらまことにございます」
劉弁は玉座に深く腰掛け項垂れると右手を額に当て考えこんでいた。賈?は下唇を噛み悔しそうにしていた。
「周太守は荊州での非常事態を私に知らせに参りまし
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