第151話 王允劉表弾劾
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軍を狙ったのは先程口になされた蔡徳珪という人物でしょうか?」
荀爽は徐ろに蔡瑁のことを質問した。
「荊州で蔡氏といえば、襄陽蔡氏。荊州一の大豪族です。このまま大人しくしているか考えものです。劉車騎将軍を襲撃する辺り、自分の立場を過大評価しているとしか思えません。面倒なことにならなければ良いのですが」
「その点は安心してよい。劉車騎将軍が冀州から軍勢を率いて蔡徳珪を誅殺すると明言されている」
「そのために劉車騎将軍は勅を求められているのですね。分かりました。明日の朝議では微力ながら王司徒を私が補佐させていただきます」
荀爽は拱手して王允に言った。
「頼んだぞ」
王允は荀爽の言葉を聞き、荀爽のことを心強く思っている様子だった。
「問題は賈尚書令ですね」
荀爽は渋い顔をした。
「賈尚書令か。邪魔をしてきそうであるな。だが、私達には証拠がある。どう能書きを言おうと無理であろう」
「私が王司徒の屋敷を訪問していることは賈尚書令の耳に入ると思います。彼女は何かあると考えるはずです」
「疑念を抱くことはあれ、内容が漏れる心配はあるまい。明日の朝議に備え、荀侍中は私の屋敷に泊まるといい」
「そうしていただけるとありがたいです。流石にこれから自分の屋敷に帰るのは心配だったところです。ですが劉車騎将軍がお命を狙われるとは驚天動地です。劉車騎将軍は下の者にもお優しい好感の持てる御方でした」
「以前にもそう聞いたな。そなたが褒めるとは余程の人物なのだろう。劉車騎将軍にお会いできる日が楽しみであるな」
王允は荀爽に笑顔で答えた。
「劉車騎将軍の件を知らせに来たのは誰だったのです。劉車騎将軍配下の兵でしょうか?」
「いいや。劉車騎将軍の妻である周渤海郡太守が荊州からわざわざ使者としてやってきた」
「だから賈尚書令が王司徒の屋敷を取り囲んでいるのですね。周太守は今どこに?」
荀爽は得心した様子で王允に続けて質問した。
「周太守はもう洛陽にいないだろう。賈尚書令が聞きつけてやってくるのではと思い急ぎ洛陽を去らせた。しかし、こうも早く聞きつけるとは恐ろしい女だ」
「賈尚書令の対応は早すぎです。荊州の不穏な空気は既に把握しておいでではないのでしょうか?」
荀爽は深刻そうに言った。
「真逆とは思うが違うとも言い切れんな」
「荊州は戦とは無縁で安定していると聞いておりました。今回のことで考えを改め無ければなりません。劉荊州牧の縁者。それも義理の妹が劉車騎将軍を殺そうとするとは。憂鬱です」
荀爽は気落ちした表情だった。
「まことにな。劉車騎将軍の暗殺未遂事件の件で少し気になるのがあるのだ」
王允は神妙な表情で荀爽を見た。
「王司徒、気になることとは?」
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