第151話 王允劉表弾劾
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内容が内容だけにおいそれと賛同を示す訳にはいかないということでしょう。証拠は周太守から預かっておいでなのですか?」
「預かっている」
王允はそう言い部屋の角にある箪笥から布袋を取り出し持ってきた。
「拝見してもよろしいでしょうか?」
王允は荀爽に頷いた。荀爽は王允の了解を得て慎重に布袋の中身を取り出した。
「矢ですね。五本入っていますが一本いただいてもよろしいでしょうか?」
「どうするのじゃ?」
王允は荀爽を訝しんだ。
「この屋敷に生き物はおりますか? この矢を試したいのです」
「そなたは周太守を疑うのか?」
「いいえ、疑っておりません。この矢の毒がどの程度か知りたいのです。王司徒は興味がありませんか?」
「それは」
王允は言葉少なく答えた。これを荀爽は肯定と取ったようだ。
「王司徒、生きた鶏か鯉はいますか?」
「鯉はいるな。今晩、食べたいと思い用意させておいたのだ」
王允は残念そうな表情で荀爽に答えた。鯉を毒矢で殺すのであれば、その鯉は食べれそうにないと思ったのだろう。
「その鯉を水を張った桶に入れ、この部屋に運ばせていただけますか?」
王允は頷き家人を読んで鯉を運ぶように命令していた。しばらくすると家人達がいそいそと桶を王允の書斎に運び込んできた。家人達は鯉を運び終わると部屋を出て行く。荀爽は家人が部屋を出て行くのを確認すると桶に近づいた。彼女の右手には毒矢が握られていた。
「王司徒、ではやります」
王允は荀爽の合図に唾を飲み込んだ。荀爽は暴れる鯉を器用に掴むと鏃を軽く背中に突き傷をつけた。鯉は必死に暴れだしたが、数分程で動きが鈍くなり一刻(十五分)もするとぐったりとしていた。明らかに鯉の様子は変だった。二刻(三十分)後には腹を上にして水に浮かび死んでいた。王允と荀爽は驚愕し二人の顔色は青くなる。荀爽は桶から慌てて手を出し、懐から取り出した手拭いで自分の手を丹念に拭いていた。
「や、やはり毒であったか」
王允の表情は狼狽していた。荀爽は死んだ鯉を凝視して厳しい表情で考えこんでいた。
「荀侍中、このような恐ろしいことを蔡徳珪は行ったのか。恐ろしい。恐ろしい」
王允は自らの腕で自身の体を抱きしめ呟いていた。
「王司徒、落ち着いてください。これで証拠は揃いました。この毒矢は何よりも説得力があります。明日は皇帝陛下の御前で披露いたしましょう。中立の立場の方々も私達に賛同すると思います」
「おお。そうか。これで劉荊州牧を召還できるであろうか?」
「よい結果となるかわかりませんが劉荊州牧を召還するしかないでしょうね」
荀爽は王允に微妙な表情で返事した。
「荀侍中、何か気がかりでもあるのか?」
「王司徒、劉車騎将
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