第151話 王允劉表弾劾
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「荀侍中、よくきてくれたな」
王允の書斎に家人に案内された荀爽が入ってきた。彼女の表情はすぐれない。
「表の兵達は何があったのですか?」
荀爽は王允に聞いた。彼女の様子から大体のことは察している様子のようだ。
「外には未だ董少府の兵達がいるのか?」
「張中郎将が居るところを見ると董少府配下の兵達だと思います」
荀爽は思案しながら王允の質問に答え軽く頷いた。王允は彼女の答えを聞くと突然不機嫌になった。
「あやつら未だ私の屋敷の周囲を囲んでいるのか! 何たる無礼者だ」
「賈尚書令は今度は何をしたのです?」
荀爽は一瞬王允を面倒そうに見た後に王允に質問した。彼女の言動からして、この手の行動を董卓軍が起こす時は賈?が関わっていることが多いのだろう。
「竹巻に記していただろう」
「確かに竹巻を読ませていただきました。ですが確認のためにお聞かせください。それと申し訳ありませんが、あのような難解な文はこれきりにしてください。読む方のことも考えてください」
荀爽はため息混じりに王允に愚痴を吐露した。
「何を言うのだ。難解でなければ文を奪われたら最後、私達の企みが董少府に漏れてしまうではないか」
王允は荀爽に「私は当然のことをしただけだ」という態度だった。
「そうですね」
荀爽は苦笑いを浮かべ王允に返事した。王允は部屋の窓際に移動し屋敷の塀の向こうを憎らしげに見ていた。
「彼らは節度というものを学んで欲しいものです」
荀爽は王允を目で追い背を向けて立っている姿を確認すると、嘆息し懐から竹巻を取り出した。彼女は竹巻を慣れた手つきで広げると目を通しはじめた。相変わらず王允は何も喋らず塀の向こうを睨んでいた。視覚に董卓の兵達を確認できないにも関わらず、彼女の視線の先には兵達が見えているのだろう。余程、賈?との一件が腹に据えかねていることが窺えた。
「こんな真似を彼らが続ければ朝廷の秩序が崩壊してしまいます。朝廷は良くも悪くも官位の序列によって秩序を維持しております。彼らは朝廷の権威を利用し立身を望んだでしょうに、その権威を傷つけようとは愚かな限りです。自らが得た地位が砂上の楼閣の如く崩れさることを理解できていないのでしょうか?」
荀爽は淡々と述べた。彼女は物腰穏やかにやんわりした声音で語っていたが、その内容は董卓陣営への批判の感情が感じられた。
「涼州人に何を言ったところで無駄なこと」
王允は窓の外を眺めたまま荀爽の問いかけに答えた。
「涼州人の全てが彼らのように野蛮とは限らないでしょう。馬寿成は中々の人物と皇御史中丞から聞き及んでおります」
荀爽は苦笑しながら王允に別の話題を振った。
「お主は賊軍に味方するような卑しき身分
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