神の宴
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られたが、テュールは、背丈の所為で、見付けられない。
「では、少し失礼しますね」
そのテュールを慮ってウェイターは善意からテュールの両脇に手を入れて持ち上げた。
「むっ!お、下ろせ、下ろすのだ!」
まるで自分が幼児のように扱われていることに怒ってじたばたした。
「あれ〜、テュールも来てたの、私うれしいわー!!」
その所為で、テュールが他の神の視線の高さまで持ち上げられたこともあって、テュールは一番会いたくない神物に見付かってしまう。
「そ、その声はデメテル…………」
時間が止まったように停止したテュールはぎしぎしっと首を回して、声のしたほうに目を向けた。
そこにいたのは農耕神デメテルだった。
デメテルはテュールにない豊満な体つきをしていて、胸元が大胆に開いたドレスからは双丘の大峡谷が覗いていた。
目尻は垂れていて、
「こっちにいらっしゃい。本当にいつ見てもかわいいんだから〜」
その声も柔らかいものだった。
デメテルはウェイターに持ち上げられていたテュールをひょいっと受け取ると、その胸に顔を押し付けた。
「むぐぅーー!」
押し付けられたテュールは呼吸困難に陥って暴れた。
まるで補食者の餌食になった獲物の図だった。
「デメテルー、テュールが来てるのー?」
「えー何々?我らが子猫ちゃんがいるのー?」
騒ぎを聞き付けて可愛いものに目がない一部の女神達が目を光らせて、獲物のニオイに引き寄せられるように周囲に集まりはじめた。
その危険な雰囲気にウェイターは既に逃げ出して姿を消していた。
「わーーっ本当だーーっ!次は私にちょうだい、デメテルぅー!!」
「ちょっと私が先に見つけたのよ!先に私が食べるの!くふふっ」
「あなたこそ、私より後に来たくせに!」
「いいじゃない、順番なんて。夜は長いんだから」
「「「そうねー」」」
「むぐむぐむむーーっ!!」
女神達が勝手に話を進めるていることにテュールは窒息しかけながら抗議の声をあげるが、勿論彼女達には一つも届いていない。
以降『神の宴』が終わるまでテュールが女神達の間をたらい回しにされたことは言わずもがなのことだ。
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