神の宴――への道中
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ラはその部分の記憶を失っておるのじゃからな」
「そうですが…………それよりもデイドラが気になります」
ノエルは意図的に話題を逸らす。
「…………デイドラの何が気になるのじゃ?」
その意図を見抜きながらテュールは先を促す。
「記憶を部分的になくしたこともそうですが、デイドラが目を覚ましたことも気になります。ミネロヴァさんは、当分は目を覚まさないと言っていたのにも拘わらずです」
「…………確かにそうじゃが、ミネロヴァの予想が百発百中であるわけでもなかろう」
「ですが、ミネロヴァさんの過去を鑑みれば、予想が違うことは滅多にないでしょうし、私の目から見ても、デイドラは血をかなり失っていました」
「つまり、何が言いたいのじゃ?」
すっかり怒気を収めたテュールが容姿に不似合いな真剣な面持ちでノエルに問う。
「これは私の勝手な想像ですが、誰かがデイドラの復讐心を煽っているのではと考えています」
ノエルは前もって用意していたように詰まることなく言った。
「それがデイドラがミネロヴァの予想に反して早く意識を取り戻したことにどう関係しているのじゃ?」
「荒唐無稽かもしれませんが、『誰か』が私とテュールに気付かれることなくデイドラを起こし、復讐心を駆り立ててダンジョンに潜らせたのではと」
「うぅーー、確かに荒唐無稽の感があるな。二階にいたとは言えど、ホームに入ればノエルなら気付くだろう?」
「同級の冒険者ならば気付くでしょう」
ノエルは含みを持たせて答える。
「しかし、第二級、第一級の冒険者なら汝もデイドラの傍にいた妾でさえも気付けぬ、ということかのう?」
「はい、あくまで一つの可能性ですが」
「うーーむ」
ノエルの推論を受けて、テュールは足を止めて目を瞑り考え込む。
「そうだとして、其奴に何の得があるんかのう?」
そして、しばらくして目を閉じたままノエルに問うた。
「それはわかりません――ですが、デイドラの…………村が全滅したことにも説明がつきます」
ノエルは途中で一度沈痛な顔で口をつぐんでから言葉を続けた。
「確か、村が全焼していて、様々な異なるモンスターの足跡が至る所にあった、じゃったか――すなわち、これを仕組んだ者が今回の犯人と同一人物であると言いたいのかのう?」
「はい、地上で多種大勢のモンスターが一カ所に集まって村を襲うなんて訊いたことがありません。しかし、誰かがおびき寄せて、もしくは調教して襲わせたとすれば」
「筋は通る、ということじゃな」
「ええ」
「うーーーーーむ」
テュールは少し顎を摩りながら唸なった末、
「筋は通るが証拠がない、じゃが切
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