閑話――とある別界にて
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っている男神に女神が訊く。
「何をだ?」
「あの少女に似た子が殺した子の中にいたでしょう?」
「あ、ああ、いたような気がするな。で、それがどうしたんだ?」
取り繕うように男神は答える。
「きっと、その子はデイドラと私とあなたのような関係だったのよ」
その男神の頬に背後から手を添えて一番言いたくない言葉を口にする。
「似たような、つまり恋仲にあったということか?」
それだけで、男神の声音に嬉々とした気色が窺えた。
「そうよ。あくまで、きっと、だけれど――でも、これだけは言えるわ」
「何だ?」
「子は本当に大切な人のためなら命に代えてでも助けようとするのよ」
男神が、訊いてくるばかりで、全く自分で考えようとしないことは無視しして女神は答えた。
その女神が見詰めるのは、男神の前にある豪奢な卓の上の円鏡、『神の鏡』。
任意の場所の映像を映し出すことできる下界で特別に公的使用が認められている『神の力』。
その『鏡』には緑光に染まったダンジョン。
そして、中心には横たわる少年とその傍で両手を翳す背中に精霊と思わせる羽を生やした少女。
女神はその二人に賭けていた。
――この死よりも辛い一辺六Mの空間からの解放を。
今まで下界に関わってこなかった、否この部屋から出たことすらない、引きこもりのゲーマー男神が最近になって『リアルRPG』とか言って一人の少年に御執心だった。
女神は一時の暇潰しかと思っていたが、男神は予想に反して没頭した。
女神はこれを好機だと見た。
何度も妨害をして男神が痺れを切らし下界に下りる、もとい上がる時、自分もついて行き、下界に逃れようと、絶命しそうな程つまらない部屋から脱出しようと目論んでいた。
(だから、その時まで死なないでちょうだい)
女神は画面の中の二人に鋭い視線を向けながら、我知らず笑みを浮かべていた。
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