第十七話 戦機、近づく
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力が多いので引き揚げましたと言えるか? 少しは敵の様子を探らなかったのかとか言われるだろう。そうじゃなくても少数で多数を撃ち破らないと無能と考える素人が多いからな。
一生懸命挑発してるのに何も感じないんだろう、ドーソン、このグズが。アッテンボローの言う通りだ、地獄に落ちろ、役立たずのグズ。多分戦争が苦手で自信が無いんだろう、それで動かないんだ。まるで五丈原の戦いだな、俺が孔明でドーソンが仲達……。駄目だ、段々落ち込んできた。ドーソンに苛められている……。なんて可哀そうな俺、地獄に落ちたのは俺のほうだ……。
ラインハルトの時には三個艦隊が分散して各個撃破されている、それなのに俺の時は五万隻近い艦隊が纏まって行動してる、不公平だろう。それでもな、一応策は考えたんだ、一応な。挑発して敵を分散させるって。分散させて引き寄せて撃破するって。幾つか状況を想定して考えたんだ。それなのにドーソンの馬鹿が分散しないし、追ってきても途中で止めちゃうし、どうにもならない。
大体だ、俺の専門は補給なんだ。それなのに何で最前線で戦争してるんだ? どうせなら兵站統括部のトップにでもしてくれよ。おまけに何時の間にか公爵家に養子に出されて、結婚相手まで決められている……、不本意の極みだ。俺の人生を返せ!
公爵になったからって好き勝手が出来るわけじゃなかった、なんたって養子だからな、肩身が狭いよ。それなのに面倒事、厄介事は全部俺だ。馬鹿貴族どもの相手はさせられるわ、皇帝の女の後始末を着けさせられるわ、おまけに勝手に自殺するわ……、皆で俺を苛める……。
良いよな、大公とムフムフちゃんは。面倒事は全部俺に押し付けて自分達はケーキ食べて御満悦だ。おまけにエリザベートは俺がアンネローゼに見とれたとか言って怒るし……。しょうがないだろう、向こうがでかい乳を見せつけてくるんだから。男だったら誰だって目が行く。大公だってムフムフちゃんだって鼻の下が伸びてたぞ。俺を責めるのは不当だ!
メックリンガー達が俺を見ている。ずっとじゃないチラ、チラっと俺を見る。何時まで続けるんだ? 次は何時熱を出すんだ? そんなところだろう。分かった、分かった。俺には戦争は無理だって言うんだろう。これ以上ここに居ても無駄だって。分かってるよ、あと二日我慢してくれ。それで何もなければ帝国へ帰る。
連中の気持ちは良く分かるさ。誰も何も言わないが遠征軍の士気は多分下がりっぱなしだろう、急降下爆撃機を通り越して潜水艦だ、いや沈没船だな。敵は二倍以上、おまけに遠征軍司令官は若年で病弱、昨日も半日熱を出して指揮官席でくたばっていた。
ヴァレリーが一生懸命世話してくれたが、保護者同伴で戦争に行く司令官が居るかよ、前代未聞の珍事だ。この状況でまともに戦争しようなんて考える奴など絶対に居ない。馬鹿臭く
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