第十七話 戦機、近づく
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ーク中佐が訂正案を出した。私と司令長官を交互に見ている。折衷案を出して機嫌を取ろうというつもりらしい。
「押し込んでどうする。我々が撤退すればまた出てくるだろう」
「その時はもう一度押し込むのです。帝国に対し好き勝手な行動はさせないと断固たる決意を示すのです。そうすれば帝国軍もこれ以上の挑発は無駄だと理解するでしょう」
「うむ、断固たる決意か」
とドーソン司令長官が唸った。考え込んでいる。どうやらフォーク中佐の訂正案が気に入ったらしい。あるいは気に入ったのは“断固たる決意”という言葉かもしれない。
どうする? 司令長官がフォーク中佐の訂正案を採用すると言った時賛成するか、それとも反対するか……。本来ならヤン准将の案の方がベターではある。しかしドーソン司令長官が受け入れるのを嫌がるだろう……。
「フォーク中佐の作戦案を執ろう」
「閣下……」
「これは決定だ! 別働隊は第二艦隊とする。直ちに第二艦隊に指示を出したまえ。第二艦隊には十分に注意するように伝えるのだ。それで良かろう」
「……」
「帝国に断固たる決意を見せるのだ! これ以上奴らの好きにはさせん」
分かっているのか? 第二艦隊は中央に配置されている。そして右翼に第七艦隊一万四千隻、左翼に第九艦隊が一万二千隻が配置されている。第二艦隊を迂回させるという事は艦隊の配置を再編するという事だ。全軍を前進させるなら別働隊は第二艦隊で有る必要性は無い。
さっき私は何を言おうとしたのだろう、気が付けば口を開いていた、そして言葉を封じられた。おそらく反対すると思われたに違いない。しかし本当にそうだろうか……。ドーソン司令長官は私と視線を合わせようとしない。これ以上話したくない、そういう事か、多分この戦闘の後で私は参謀長をクビだろう。寂しく思うのと同時にほっとしている自分がいた……。
帝国暦487年 1月10日 帝国軍旗艦フォルセティ エーリッヒ・フォン・ブラウンシュバイク
疲れた、ウンザリするほど疲れた、嫌になるほど疲れた。五日だ、もう五日も押したり退いたりの駆け引きを繰り返している。こんな事普通の奴なら二日もやれば何らかの対応策を考える。それなのに芸も無く五日もダラダラと続けるなんて……。ドーソンだな、こんな事をやるのはドーソンに違いない。例え違っていたとしてもドーソンだという事にしよう。
ドーソンの馬鹿野郎、グズ、マヌケ、トンマ。鈍感だから何も感じないんだろう、このアホったれの役立たず。こっちは二万隻で五万隻近いお前らを相手にしてるんだ。疲れるんだよ、油断して捕まったら一気に押し潰されかねないからな。それなのにお前は……、呑気にお茶でも飲んでるんだろう、このボケナス。
無理はしないと言ったよ、確かに言った。でもな、ただ敵の兵
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