第十七話 戦機、近づく
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を操作した。帝国軍が進行方向を変え別働隊に近づく、もうすぐ攻撃をかけるはずだ。
「帝国軍がこちらの目論見に気付かなければ問題は有りません。しかしそれに気付けば、別働隊に対し帝国軍が攻撃をかけてくる可能性が有ります。別働隊は孤立した状況で優勢な敵と戦う事になるでしょう」
モニターでは帝国軍が別働隊を攻撃している。
「……そんな事は分かっている」
苦虫を潰したような表情だ。
「帝国軍がこちらの作戦に気付くとは限るまい」
そう言うとジロリと周囲を見渡した。
呆れた。まじまじと顔を見そうになって慌てて視線を逸らした。周囲を見れば何人かがやはり呆れたようにドーソン司令長官を見ている。希望的観測で作戦を立てると言うのか? 戦果を望むあまり願望と予測の区別もつかなくなっている。
「凡庸な指揮官ならそうかもしれません。しかしブラウンシュバイク公は非常に有能で危険です。彼が平民でありながら公爵家の養子に迎えられたことでもそれは明らかです。軽視すべきではありません。作戦は慎重さを要求されます」
私の発言に何人かの参謀が頷いたがドーソン司令長官には何の感銘も与えなかったらしい。フンと鼻を鳴らした。
「ではどうしろというのだね。貴官もアスターテ星域で待機しろというのかね、何もせずに!」
ドーソン司令長官は私に問いかけたが視線はヤン准将を見ている。なるほど、そういう事か……。
面白くないのだ、戦果を挙げられないという事もあるがシトレ元帥と親しいヤン准将の意見を受け入れるのが面白くないのだ。もしかすると自分に功績を立てさせないためではないかと疑っているのかもしれない、当初は楽に勝てると思っていたのだから……。アスターテ星域での待機をヤン准将以外の別な人間が言ったなら或いは素直に受け入れたのかもしれない……。
シトレ元帥が宇宙艦隊司令長官への就任を自ら望んだ事は皆が知っている。実現はしなかったが軍内部ではそれを残念に思っている人間は多い。私自身それを望まぬでもない。
その事がドーソン司令長官の心に棘となって刺さっている。皆が自分ではなくシトレ元帥を宇宙艦隊司令長官に望んでいるのではないかと、だから自分を心から補佐してくれないのではないか、武勲を立てさせようとしないのではないかと疑っている。
始末が悪いのはそれに事実が含まれているという事だ。皆が徐々に徐々にドーソン司令長官に対して不満を持ち始めている。誰の所為でもない、これまでのドーソン司令長官の言動によって補佐しがいが無いと感じ始めているのだ。敗北して早くクビになれば良いと考えている人間もいるだろう。
「本隊も敵に近づけてはどうでしょう。そうすれば挟撃は難しいかもしれませんが別働隊を必要以上に危険にさらさずに済みます。イゼルローン回廊に敵を押し込めるのです」
フォ
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