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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
22.光が灯った日
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を見て思わず悲鳴を上げた。

「うわっ!?ちっこい魔物!?」

 その中には、蝶のような羽根が生えたとても小さな少女が入っていた。
 人によってはそれを可愛らしいとか美しいと思う者もいるかもしれないが、世の中には外見こそ可愛らしいがその実狂暴な魔物というのはいるものである。代表的な者としてはリリスやサキュバス、そして魔法使いが邪道に堕ちたウィッチなどがそれに相当する。

 しかし、何故結晶の中に――そう考えたティズの眼と、中にいる小さな少女の目が、合った。

『………って失礼ね!わたしは魔物じゃないわよっ!!』
「え………!?しゃ、喋ったぁ!?」

 瞬間、目の前の結晶がぴきぴきとひび割れ、中からそのミニマム少女が出現する。
 ぱたぱたと可愛らしく灰色の羽根を羽ばたかせてふわりと飛ぶ小さな少女は、周囲をキョロキョロ見渡す。簡素な灰色のドレスと尖った耳が目を引いた。

「ふぅ……無事にルクセンダルクまでたどり着いたみたいね!ちょっと強引な手段だったけど、これであの子を――っとと、そうだ、そこのあなた!こんな可愛い精霊を魔物扱いなんて失礼しちゃうわっ!」

 ぷんすかと怒る目の前の自称精霊に、ティズはただ目をパチクリさせるほかなかった。
 これはこれで、彼の処理能力のキャパシティをオーバーしている。
 そのまま何かを言おうとした精霊だったが、不意にティズの顔をまじまじと見つめる。それは思わぬ幸運に恵まれた様な――それでいて、何か重要な決断をしたような真剣な表情だった。
 やがて混乱するティズに、精霊は問いかけた。

「………ねぇ、あなた。わたしと契約しない?」
「けい、やく……?」
「そう、契約。わたしがあなたの手助けをする代わりに、あなたはわたしを護る……そう言う契約よ。精霊と契約できるなんて一生に一度あるかないかの大チャンスなのよっ!!」
「わ、訳が分からなくなってきた……大体君はいったい何者なんだ?」

 妖精はその質問に少し考えると、にこっと笑ってこう名乗った。

「わたしの名前はねぇ………そう、エアリー!エアリーよ!」

 そして、エアリーと名乗った精霊は次の瞬間――ティズと、その後ろからやっと追い付いたアイズとアニエスの運命さえも大きく変える一言を放った。



「今なら特別サービスで――あの巨大な大穴を塞ぐ方法だって教えちゃうわよ?」


 
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