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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
22.光が灯った日
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てねぇでさっさと行くぞ!!」

 ……その悲鳴が後続のメンバーの不安を大いに掻きたてたことは言うまでもない。



 = =



 ぱたぱたと、涙が雑草の上に落ちていく。
 故郷のように、弟のように。無為に落ちては、無意味に地面に吸い込まれていく。

「そんなのって、ありかよ」

 子供の頃からずっとそこで暮らしていた。
 弟のティルと共に笑い、喧嘩し、仲直りし、また笑った思い出。
 放牧していた羊たちの毛皮を溜めこんだ倉庫。
 友達と一緒にかけっこをして遊んだ丘。
 木登りをしては大人に怒られた大きな木。

 小川のせせらぎ。草原のさざめき。羊の鳴き声。小鳥のさえずり。
 村にあった音を、形を、色すらも呑みこんで。

 すべては、無に還った。

「こんな事になって……こんな状況で僕だけ生き残って………それで何になるって言うんだ!!」

 胸を突き刺されたような痛みが、弱った体を容赦なく抉る。
 今、ティズの心にある想いはたった一つだった。

 おいてけぼりにされた。

 全てを失ったのなら、一緒に自分の命さえ失われてしまえばよかったんだ。
 もしそうならば、こんなにも悲しい思いを抱かなくて済んだのに。
 
「あの時――僕もティルと一緒にあの穴に落ちてればよかったんだ……そうすれば!そうすれば……こんなに苦しむことはなかったのに!!」

 自分でも、こんなことを言うのは間違っていると分かっている。
 ティルはあの時、自分に生き残ることを望んでいた。
 ならば生きるべきなんだろうと、理屈では分かる。
 分かる、けれど。

「ふぐっ……う、うう……!!」

 その場にうずくまったティズは、暫くその場に蹲って嗚咽を漏らすしかなかった。
 自らのみに降りかかった余りにも大きすぎる不幸を、ほんの少しでも受け入れるために。

「………………………」
 
 暫くして、ティズはやっと顔を上げた。
 その表情はまだ落ち着いたとは口が裂けても言えないほどの悲しみを湛えていた。
 それでも――悲しみを背負ったまま立ち上がった。
 きっとそれが、ティズの強さなのだろう。克服も納得も出来なくても、それでも前へ進む事を選ぶ。なぜならば、彼と親しかった人々は決して「ティズ・オーリアの死」を望まないと分かっているから。

 だから、皆の為に立ち上がり、自分が出来る事を考える。
 例えその心にに、常人なら立ち上がれないほどに大きく深い傷を抱えていたとしても。

 そんなティズの眼に、あるものが映った。
 大穴の淵に近い場所で月光を反射する、大きな結晶。
 人の頭ほどあるだろうか。ノルエンデでは見覚えがない代物だ。

 結晶を拾って覗き込むんだティズは、その中にあるもの
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