第5話 : 刻星病・後編
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ら。
本当ならば三ヶ月かけて、ステージで高揚感を馴染ませる予定だったが……
どの様にして心拍数を上昇させる手段に至ったのか興味は尽きない。
でも、これについては聞いても教えてくれない。
少々赤い顔をしてるが、それはステージの余韻が残ってるからだろう。
つまりは手懸かりはない、無いならば推理は難しいな。
まぁ、本人が内緒にしているならば無理に暴く事はしない……少しは空気読める人間になっている俺である。
そんな俺を見て肇さんは微笑んだ。
「ありがとうございます……私の知らない私……それに到達できたのはプロデューサーのお陰です。
だから、これからも私と一緒に夢を紡いでください……それが今の私の夢です」
その言葉に言い様ない程に胸が詰まった。
何かを口にしたいのに、何をどう伝えれば良いかも分からない。この胸に溢れる思いを、どの様に言葉として伝えれば良いか……
だから……ただ一言。
「これからもよろく……」
それだけを伝える。
上手く言葉を飾りつける事はできない。ならば、心の奥底から溢れる万雷とも言える気持ちをこの一言に凝縮させる。
肇さんは少しはにかんだ顔で応えてくれた。
……その笑みにこちらまで照れて顔が赤くなりそうだ。
それは何だが学生が夢見るようなワンシーンである……
そんな気恥ずかしい空間は誰かの手を叩く音で幕を閉じた。
パンパンと、まるで周りにアピールするような強い拍手。
「……なんだか千早さんを見てた見たい。本当に凄かったのっ!」
その声と口調で星井 美希と分かるが、いつもよりも大きいな声と感じる。いくら今ステージが始まっていないと言っても、これは無作法だろう。
それは本人も分かっているだろうが、その挑発的な眼から何らかの糸があると推測できる。
「ミキね、おにぎりの人がライバルになるって言った時はキョーミなかったの……
でも今はね、とてもワクワクしてる」
何事かと周りのスタッフも手を止めてこちらを伺う。
奥から律子も出てきた。
狙って居たのかどうかは分からないが、周囲に人が集まりはじめて口火を切った。
「だから今ここで、あなたにフェスの対決を申し込むの!
三ヶ月も待てない!今日ここでミキはあなたと競い合いたいの!」
思わず二段階のランク差では、フェスは行えないルールだと言いそうになって口を閉じる。
違う……これはアイドルランクを賭けての戦いではない、純然たる闘争。切磋琢磨。
星井 美希はこう言ってるのだ、藤原 肇は既に自分達のライバルだと……
「………………」
「………………」
肇さんと互いに視線を交差させた。
聞くまでもな
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