第5話 : 刻星病・後編
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で行く事だ。
対して彼女の集中とは、他者の願いや感情さえも背負って、天高い空に昇り燦然と輝く星となる事。
初めから対極。
初めから……俺は彼女を見上げるだけの存在。
知っている。だから、激しく憎む程に嫉妬した。
でも……今は……頬に熱いものが流れた。
あぁ……届かない……と。
あまりにも遠く尊いと思ってしまう。
あの人の時もそうだ。俺には何もないから……先天性・集中力自己支配と言う異常を持った為に、俺は正しく努力する事はなく、絶対的に失敗する事もない……
楽しくて仕方ないとか、絶対に伝えたいとか……そんな人間らしい感情が……必死と言う生き方が…あまりにも薄い。
だから、そんな人間になりたいと……自ら内なる燃料で燃えて輝く……そんな“星”に近付きたいと……願ってしまった。
人間になりたい……それが昔々、集中力に支配されていた俺が人間に返り咲いた願い。
でも、無理だと知った。
俺は結局は最後の最後で利己的な悪魔にしかなれない……それを765プロで知った。
だから……今は……彼女の助けになれれば嬉しい。それでいい。
今日の朝に藤原 肇を船橋 縁の運命と言ったが……それは本当言えば、嘘ではない。
俺がこんな異常な才能を産まれ持って、そして苦しんだのは……藤原 肇を完成させる為に……そう思えば何て運命的だろうか……
偶然でもこじつけでも、そう思いたいし願いたい。
藤原 肇が星の空で輝くならば、船橋 縁は深い海の底に沈んでも構わない……
*****
結果は終わってみれば圧勝だ。
しかし、それは最上 静香が弱かった訳じゃない、それは絶対に明言する。
本能レベルで静寂を強制するあの空間で、彼女は最後まで自分を主張し続けた。
私の歌を聴いて!そう心折れる事もなく、最後まで彼女はアイドルを貫いた。
結果としてハイ・プレッシャーを受けて激しく消耗している。
それでも、それだからこそ彼女のエリアに人は残った。
今にも倒れそうな程にフラフラしている最上 静香に声援を送る。彼等こそ本当の意味での最上 静香のファンだろう。
そんなファンに半分泣きそうになりながらも『ありがとうございますっ!』と彼女は返す。
ファンは奪えない……次にフェスで戦う時が来れば、確実により強いアイドルとして立ちはだかるだろう。
何にしても藤原肇のランクアップは終わった。
文句なし。最高のパフォーマンスを魅せてくれた。
「……どう、でした? 今のが現在の私にできる最高の表現でしたが……?」
「言うことなし……免許皆伝だよ……」
ステージから捌けてきた肇さんに尋ねられて、すかさずに答える。それはもう1の次に2が来るように当たり前の事だか
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