第3話 : 刻星病・前編
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《蜘蛛の糸》と言う物語を知っているだろうか?
ストーリーは以下の通りである。
釈迦はある時、極楽の蓮池を通して地獄を覗き見た。
幾多の罪人どもが苦しみもがいていたが、その中にカンダタという男の姿を見つけた。
カンダタは生前に様々な悪事を働いた泥棒であったが、一度だけ善行を成したことがあった。小さな蜘蛛を踏み殺そうとしたが思いとどまり、命を助けてやったのだ。
それを思い出した釈迦は、地獄の底のカンダタを極楽へ導こうと、一本の蜘蛛の糸をカンダタめがけて下ろした。
極楽から下がる蜘蛛の糸を見たカンダタは『この糸をつたって登れば、地獄から脱出できるだろう。あわよくば極楽に行けるかもしれない』と考える。
そこで蜘蛛の糸につかまって、地獄から何万里も離れた極楽目指して上へ上へと昇り始めた。
ところが糸をつたって昇る途中、ふと下を見下ろすと、数限りない地獄の罪人達が自分の下から続いてくる。
このままでは糸は重さに耐え切れず、切れてしまうだろう。それを恐れたカンダタは『この蜘蛛の糸は俺のものだ。お前達は一体誰に聞いて上ってきた。下りろ、下りろ』と喚いた。
すると次の瞬間、蜘蛛の糸がカンダタのぶら下がっている所から切れ、カンダタは再び地獄に堕ちてしまった。
その一部始終を見ていた釈迦は、カンダタの自分だけ地獄から抜け出そうとする無慈悲な心と、罰として地獄に逆落としになってしまった姿が浅ましく思われたのか、悲しそうな顔をして蓮池から立ち去った。
……この話から学ぶ事はかなり多い。ただし、それは個人が何処までこの話に目を向け耳を傾けるかによって、広がりは変わるのだろう。
一個人としてこの話に着目するポイントは、神様は、善でも悪でも常にチャンスを与え続け、そして人間がそこに気が付けるか……と言うところだ。
そう、カンダタは蜘蛛の糸をロープ代わりにして上ろうしたのだ……
さて、ここで考えよう。もし俺が同じ境遇ならば、蜘蛛の糸を上るなんて発想に至ったか?答えは否。そんな馬鹿馬鹿しい非現実な事は考えない。
でも、カンダタは目の前チャンスに気が付いたのだ……
他の人間も、カンダタが蜘蛛の糸を上らなければ、蜘蛛の糸のそんな使い方を考えなかったのかも知れない……
神様はチャンスをくれる。いつも唐突に。そこからチャンスを掴みとるか、チャンスと気が付けずにスルーするから人それぞれ。
ならば……俺の目の前のこれは……神様がくれたチャンスなのだろうか……?
アイドルオーディション。
社長&チッヒーからの更なる無茶振り……もとい、試練と言う名のお仕事。
あの引き抜きは、“肇”さんの為にセッティングされたイベントだった……らしいが、これは間違いなく裏のない
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