第3話 : 刻星病・前編
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純粋な仕事なのだろう……
さて、選考書類の束の中。文字通り俺にとっては紙束と呼べるほどに価値の薄い100枚近くの書類。
その中に見つけた名前。
水本ゆかり。
この名前と清楚可憐で気品のある写真には覚えがある。もっとも彼女と直接会ったのは、かなり幼い頃の話なのだが……
見間違いなら、それはそれで良かった。けど、そうもいかない様だ。
「ふむぅ……そうか、アイドルに興味を持ったのか……意外だな……良くあの父親が許したものだ」
水本ゆかり。俺の腹違いの妹であり、俺が水本家から船橋家に移り住んだ原因の一つ。
無論。彼女に恨みなど無い。むしろ彼女に感謝したいぐらいだ……
君が産まれてくれたから、俺はあの人に出会えた。だからいつの日かそのお礼をしたいと考えてたのだが……
うん。これはチャンスなのだろうか?
幸いにも、あの父親は俺が何の仕事をしてるかは知らない……まぁ興味も無いだろうし、彼女も俺と言う腹違いの兄が居るなんて知らないだろうし。
これは神様がくれたチャンスなのだろう。余計なしがらみを持ち出さずに我が妹に助力できると……そう結論付ける。
「アイドルの志望理由は……成る程。先日の“肇”さんのステージに憧れて……か」
あの時。来ていたのか……
藤原肇のアイドルランクの昇格フェス。
腹違いのとは言え、“肇”さんに興味を持つとは流石は血の繋がりがあるものだ。
そうだな……チャンスはいつも唐突だ。それはどんな時にも訪れる。
不意に、“肇”さんに目を向ける。今彼女は、女子らしくお話に花を咲かせて微笑んでいる……
さて、その話し相手にも目を向けよう……
神様のくれたチャンスを掴めた結果だ。
その女の子の髪型は、出会った時のお団子ではなくポニーテールを作っている。
そんな姿も可愛らしくて微笑まし……
少し目を閉じてあの日を思い出す。
ほんの数日前のあのフェスを……
あの熱狂とざわめきを……
そして、高森 藍子に再開出来たあの日の事を……思い返す。
***
集中する。集中すれば時の流れは遅くなる……まぁ、俺の中だけ限定だが。
そして日は沈む。ならば昇は道理。
いかに集中しようとも、DIO様のスタンドであるザ・ワールドでもあるまいし、時間を止めるなんて不可能だ……
日は沈む。そして昇る……何が言いたいかと言えばねぇ……
「仕事が終わらないんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」
思わず事務所のオフィスで叫び倒す
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